HORNA Review
目次
Hiidentorni / Kohti Yhdeksän Nousua / Perimä Vihassa Ja Verikostossa / Ordo Regnum Sathanas
![HORNA - Hiidentorni / Kohti Yhdeksän Nousua / Perimä Vihassa Ja Verikostossa / Ordo Regnum Sathanas](/img/article/horna_hiidentorni_kohti-yhdeksan-nousua_perima-vihassa-ja-verikostossa_ordo-regnum-sathanas.jpg)
- Avaus / Kun lyömme Jumalan kodin liekkeihin
- Ikuisesti, kalpeina kuoleman muistoina
- Hiidentorni huokui usvansa
- Tappakaa Kristus
- Sanoista... pimeyteen
- Hänen synkkä myrskynsä
- Hornanväki
- Sinulle, mätäneva Jehova
- Örkkivuorilta
- Imperial Devastation
- Sword of Darkness
- White Aura Buried in Ashes
- Sormus ja silmä
- Pimeys yllä pyhän maan
- Verikammari
- Ghash Inras
- Perimä vihassa ja verikostossa
- Korpin hetki
- Ihmisviha
- Kun synkkä ikuisuus avautuu
- Black Metal Sodomy
- Ordo Regnum Sathanas
フィンランドのブラックメタルバンド Horna のCompilation盤『Hiidentorni / Kohti yhdeksän nousua / Perimä vihassa ja verikostossa / Ordo Regnum Sathanas』をレビュー。2000年リリース。
Horna は1993年から活動するフィンランド最古参のブラックメタルバンドの1つ。幾度もメンバーチェンジを繰り返しながらも中心人物の Shatraug の不変の信念の元に真正ブラックメタルバンドとして精力的に活動、スプリット盤やEPを含めると膨大なリリース数を持つ。初期よりアルバムタイトルや歌詞に母国語を使っている。
書き切れないのでここでは書かないがバンドメンバーはそれぞれ有名無名様々なバンドを掛け持ちしている。中でも Satanic Warmaster、Sargeist、Baptism、Behexen、Archgoat あたりは有名どころ。初期のボーカルが Satainc Warmaster の Werwolf である。
この作品は彼らの1997年デモ、1998年1st、1999年EP、1stの再発vinyl盤に収録された『Ordo Regnum Sathanas』を収録したおトクな2枚組編集盤CD。
Disc1の1〜8曲目が1997年2ndデモ『Hiidentorni』の、9〜13曲目が1stフルアルバム『Kohti yhdeksän nousua』の収録曲。Disc2には1999年EP『Perimä vihassa ja verikostossa』と『Ordo Regnum Sathanas』が収録されている。『Perimä vihassa ja verikostossa』原盤の2曲が未収録なのと『Ordo Regnum Sathanas』は曲順が違う。
Hiidentorni
1stフルアルバム『Kohti yhdeksän nousua』と同年レコーディングの2ndデモ。これが1stフルアルバムになる予定だったという話を聞いた事があるが本当のところはわからない。内容的には音質良好で8曲40分とフルアルバムとしても申し分ないもの。
音は邪悪で如何わしく汚らしい余分なもの一切を削ぎ落とした純粋な北欧ブラックメタル。拭っても拭っても体に纏わり付いてくるような邪気に満ちた作品でこの時代ならではの真正のブラックメタル作品と言える音。
このデモの時点では後の作品で聴けるメロディアスな要素は多くなく初期 Gorgoroth などのノルウェー型に近いスタイル。淡々と不吉なフレーズを刻み続けるジリジリしたギターと怨念の篭ったボーカルに病み付きになる中毒性の高い作品。筆者は重度患者です。
Kohti yhdeksän nousua
心なしか音が鋭角的になり演奏にキレが出た気がする 1st フルアルバム。
作風は前作デモと変わらずネットリとした邪悪さを発散させる曲揃いで浸かってしまうと中々抜け出せなくなる危険な作品。
Disc1を通しで聴けば1時間強に渡りフィンランド・ブラックメタルの真髄を存分に堪能する事ができる素晴らしいカップリングCDである。
このジワジワと心を浸食してくるかの様な陰惨な雰囲気醸成は唯一無二。鬱・自殺系ブラック愛好家にも響くものがあるのでは。
ラスト曲 "Sormus ja silmä" の後に隠しトラックで『Hiidentorni』の冒頭曲 "Kun lyömme Jumalan kodin liekkeihin" の再録が収録されている。
タイトル、歌詞が英語の曲が3曲もあるのはこのバンドには珍しい。
Perimä vihassa ja verikostossa
頭2曲が『Perimä vihassa ja verikostossa』収録曲。Disc1に充満する地下臭は無い。荒涼感たっぷりに疾走する様は3rdフル『Sudentaival』に近い感触。
Ordo Regnum Sathanas
一転、3曲目以降の『Ordo Regnum Sathanas』収録曲はDisc1と同じ類の音で強烈に邪気を放っている。『Hiidentorni』『Kohti yhdeksän nousua』より曲はストレートかつ、疾走度が高い曲が揃っている。スラッシュメタル風のリフが聴ける部分も多い。ブラックスラッシュ曲 "Black Metal Sodomy" は名曲。
音質は曲によってまちまちだが気になる程ではない。ラストの "Ordo Regnum Sathanas" の後に延々13分間に渡ってオリジナルには存在しないシンセサイザーによる奇妙なアウトロが収録されている。これは長過ぎるし無駄。
Haudankylmyyden Mailla
![HORNA - Haudankylmyyden Mailla](/img/article/horna_haudankylmyyden-mailla.jpg)
- Prologi
- Yhdeksän yö
- ...Jeesuksen verestä
- Ylle kuihtuneen ajan ajatusten
- Kun Jumalan sydän on murskattu
- (Kaiken) kristityn kuolema
- Viimeinen sielu Jumalan valosta
- Haudankylmyyden maille
- Hymni tuomiopäivänä
- Peikkomaille
- Epilogi
- Sota
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の1999年2nd『Haudankylmyyden mailla』をレビュー。
レビューするのは Woodcut Records の2012年再発盤。再発で最後の曲の曲名が "Kunnia Saatanalle" から "Sota" に変更されている。アルバムタイトルはフィンランド語で "On the Land of Burial" の意だそう。
『Hiidentorni』『Kohti yhdeksän nousua』と同年のレコーディング。同時期作品のためか作風は変わらず。ネットリとした邪気が充満するような質感の音で12曲1時間強とボリューム満点の闇作品である。
『Kohti yhdeksän nousua』より疾走感とメロウ度を増した曲が多い。またキーボードの使用法のせいか闇度が大幅アップした印象を受ける。ギターもよりメロウさが映える音に変化。
起伏に富んだ曲展開を見せる場面が多々あるが、曲の盛り上がりに聴いてる方の気持ちが付いて行かないのは終始この陰気な雰囲気がまとわり付いてくるが故。
じっくり邪気を満たすかの様にスタートして絶望的メロディックリフと共に爆走しだす荒涼感全開の2曲目 "Yhdeksän Yö" は名曲。その他の曲も総じて良い名作である。
巷では次作『Sudentaival』の評価が高いが個人的には本作『Haudankylmyyden mailla』を Horna の名盤としてオススメしたい。
Sudentaival
![HORNA - Sudentaival](/img/article/horna_sudentaival.jpg)
- Synkän muiston äärellä
- Sudentaival
- Black Metal Sodomy
- Talventuoja
- Haudanusva
- Skaldiriimu
- Kun synkkä ikuisuus avautuu
- Hautajaisyö
- Noidanloitsu
- Vihasta ja arvista
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の 3rd『Sudentaival』をレビュー。Werwolf(本作では Satanic Warmaster 名義)が参加した最後の Horna 作品。
一気にメジャー級バンドに昇華した会心(痛恨?)の一撃 3rd フルアルバム。一聴して感じるのが以前とは桁違いの音の分厚さ。演奏のキレ味も鋭くなりこれまでと受ける印象が大分違う。
前作までの地下臭の原因である作品全体に充満していた邪気が少しだけ換気されて陰湿さが減退。獰猛さが剥き出しになった感じ。
前作の作風はそのままに更にファストにメロディアスに進化。余計なイントロも曲間も廃して頭から爆走曲をズラリと並べた痛快な作品である。
前半はアグレシッブに攻め立てるストレートな曲が多く、後半はミドルテンポを交えた凝った展開の曲が多め。短く纏められた(ブラックメタルとしては)キャッチーな曲が多い上にバラエティに富んでいる。
爆走するブラックメタルナンバーも勿論良いが、後半から初期 Satyricon っぽい民謡調メロディで展開していく6曲目 "Skaldiriimu" と複数の声を絡めたボーカルワークが秀逸な7曲目 "Kun Synkkä Ikuisuus Avautuu" がお気に入り。
フィンランド・ブラックメタルの基本の一枚。名盤!
Envaatnags Eflos Solf Esgantaavne
![HORNA - Envaatnags Eflos Solf Esgantaavne](/img/article/horna_envaatnags-eflos-solf-esgantaavne.jpg)
- Vihan tie
- Musta temppeli
- Vala pedolle
- Kirous ja malja
- Saastainen kaste
- Kuoleva lupaus
- Zythifer
- Kuilunhenki
Horna『Envaatnags Eflos Solf Esgantaavne』をレビュー。2005年リリースの 4th フルアルバム。
Shatraug 以外のメンバーが脱退。ブラックメタルバンド Korgonthurus のボーカルを迎えて2人体制になった。新ボーカリストは前任の Werwolf と同様の喚き散らしスタイル。
前作『Sudentaival』は完全無欠の直情径行型ブラックメタル作品だったが早くも方向転換。プリミティブ路線に回帰した。
ミドルテンポ主体で淡々とした長尺の曲が多い(4曲が7分超え)地味目な作品となっている。プリミティブと言っても 2nd 頃までとは印象が異なる。より内省的で気鬱な色合いが濃い様に思う。
決め手に欠ける曲が多いが前作よりメロディアス度はアップ。ギターが中音域を膨らませた荒い音に変化。
ギターを全面に出した音作りで如何にもフィニッシュ・ブラックメタル然とした音になった。フィニッシュ・ブラックメタル愛好家にはこれまでの作品より本作の方が好まれるかもしれない。
アルバムの曲は大凡2つのタイプに分かれる。長尺な曲はシンプルなリフの組み立てながら緩急交えたメロウさでじっくり聴かせる。短めの曲は重量感あるリフ中心の暗く淡々としたタイプ。
1曲目 "Vihan tie" と6曲目 "Kuoleva lupaus" はアルバム中最もメロディの際立つ曲で素晴らしい。だが他の曲が弱い。
ääniä Yössä
![HORNA - ääniä Yössä](/img/article/horna_aania-yossa.jpg)
- Raiskattu saastaisessa valossa
- Noutajan kutsu
- Mustan surman rukous
- Ääni yössä
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の 5th『Ääniä yössä』をレビュー。2007年リリース。14世紀に欧州で流行したペストを題材としたコンセプトアルバム。
また作風が変化しており今度はデプレッシブ・ブラックメタルときたもんだ。4曲で43分半、20分超えの大作まで収録した 5th フルアルバム。
メロディもブラストビートも排除してスローパートをメインに徹底して重く暗い曲が続く。前作『Envaatnags Eflos Solf Esgantaavne』の荒く汚い音を意図的に篭らせたような音が沈痛な様を演出している。
曲はスローでシンプルなリフの繰り返しで判別がつきにくい。前作はメロディアスな作品だったが今作では2曲目 "Noutajan Kutsu" の一部でメロディックなリフが聴かれる程度。
最終曲のタイトルトラック "Ääni Yössä" は21分強の大作。最後まで20分以上を疾走し続けるが終始気怠い雰囲気で時折ボーカルが痛々しい声を響かせる拷問曲。ギターフレーズは手を替え品を替え工夫を凝らしているのがわかるが兎に角暗い!
正直いきなりの大胆変化に驚いた。レコーディングは2004年だそう。Shatraug が Sargeist と Horna の作風が接近してきたし、こっちは好き勝手できる状態だし違う事やってみるか、とでも考えたのかも。
かなりクセの強い作品で好き嫌いははっきり別れるだろう。筆者は苦手。
Sotahuuto
![HORNA - Sotahuuto](/img/article/horna_sotahuuto.jpg)
- Lähtölaukaus
- Vapise, vapahtaja
- Verimalja
- Tuhontuoja
- Sodanjano
- Ukkosmarssi
- Sotahuuto
- Vihanlietsoja
- Tulikäsky
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の 6th『Sotahuuto』をレビュー。2009年リリース。
タイトルはフィンランド語で "War Cry" という意。前作『Ääniä yössä』の数ヶ月後にリリースでやけに早いなと思ったら、Bathory トリビュートのために曲は2004年に書かれたものだそう。2005〜2006年の間にレコーディング。Baptism の Lord Sargofagian がドラマーとして参加している。
デプレッシブ・ブラックメタルの前作から一転、今度は軽快なビートで荒っぽくリフを刻む『The Cult Is Alive』期の Darkthrone に近い作風となっている。ブラックメタルではなくパンク・ハードコアのアルバムとして聴いた方が良い。
いつものプリミティブなギターの音のままパンクをやっている感じ。音はかなり荒々しい。シンプルな80年代HM風リフとパンクリフの2本立てで攻め立てるノリの良い曲が多い。ブラック・スラッシュ風の #7. "Sotahuuto" と #9. "Tulikäsky" や疾走感のある "Ukkosmarssi" や "Vihanlietsoja" はカッコ良い。内容は決して悪く無いと思う。
半ばバンドが Shatraug のプロジェクトと化しているためだろうが、同じリフが複数の曲で何度も使われているし、アルバムの最後は急に途切れて終わるし、正直あまり真剣に作られたとは思えない内容である。これを Horna 名義でリリースしなくても良いんじゃないかという気がする。
Sanojesi äärelle
![HORNA - Sanojesi äärelle](/img/article/horna_sanojesi-aarelle.jpg)
- Muinaisten alttarilta
- Verilehto
- Mustan kirkkauden sarastus
- Katseet
- Askeesi
- Sanojesi äärelle
- Orjaroihu
- Risti ja ruoska
- Wikinger (Die Pest cover)
- Merkuriana
- Liekki ja voima
- Ruumisalttari
- Musta rukous
- Baphometin siunaus
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の 7th『Sanojesi äärelle』をレビュー。2008年リリースの2枚組みフルアルバム。レビューするのはカードボードスリーブ仕様の Moribund Records 盤。
遂に Horna が帰ってきた。仄かな哀感とねっとり邪気が絡みつくメロディックなプリミティブ・ブラックメタルはかつての Horna のスタイル。本作『Sanojesi äärelle』のディスク1は 2nd『Haudankylmyyden Mailla』と3rd『Sudentaival』の中間、やや『Haudankylmyyden Mailla』寄りの作風。曲も相当良いものが揃っていて聴き応え十分。
2nd 以前のねっとり感と 3rd のパワフルさが同時に蘇っているのが嬉しい。Corvus のボーカルは気合入りまくり。高音喚きだけでなくガテラルボイスも使っている。全体的に吹っ切れた感がある。#1. "Muinaisten Alttarilta"、#2. "Verilehto" は粘っこくうねるが次第に力強さとメロウさを増していく作風。
タイトルトラック #6. "Sanojesi Aarelle" は中盤の劇的メロディックな展開が往年のファンには堪らない名曲。「こういうの待ってたんだろ?」とでも言いたげなShatraugの得意げな顔が浮かんで来て口もとが緩む。こういった此処ぞという所で哀愁メロディの炸裂する曲はここ何作では聴けなかった。
ディスク2は様子が違い 5th『Ääniä yössä』を連想させるデプレッシブ・ブラックメタル気味の作風。音質もディスク1とは違う。4曲で40分弱、長尺の曲が並ぶ。しかし、執拗なリフの繰り返しはあるが『Ääniä yössä』のように暗さを強調するばかりではなく、明瞭なメロディと展開がある魅力的な曲が揃っている。
Shatraug(Gt)と Corvus(Vo)以外のメンバーは新顔。ギタリストは Nordlys のメンバー。このバンドのメンバー変遷に一々言及するのは面倒なので無視。どういう心境の変化か知らんが祝帰還。本作は Horna 入門編としても最適な名作。
Askel Lähempänä Saatanaa
![HORNA - Askel Lähempänä Saatanaa](/img/article/horna_askel-lahempana-saatanaa.jpg)
- Alku
- Askel lähempänä Saatanaa
- Kunnia herralle kuninkaalle
- Kuolema kuoleman jälkeen
- Yhdeksäs portti
- Ei aikaa kyyneleille
- Kärsimyksin vuoltu hänen valittuna äänenään
- Aamutähden pyhimys
- Pala tai palvele
- Ota omaksesi luoksesi
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の 8th『Askel lähempänä Saatanaa』をレビュー。2013年リリース。
前作でメロディック路線回帰に喜んだのも束の間、豪然としたリズムと抑揚のないメロディを前面に出した無愛想な作風に変化。疾走部分が多くを占める内容とはいえ『Ääniä yössä』の影を引きづったような抑鬱的な雰囲気。怒りを内に溜め込むような手合いでこういう輩が1番危ない。
ボーカルが Spellgoth に交代。ドスの効いた声で凶悪に吼える、これまでの高音喚き主体のボーカリスト達とは毛色の異なるスタイル。彼のボーカルと重いドラムが組み合わさり屈強な印象を与えている。インストの #1. "Alku" に続く #2. "Askel lähempänä Saatanaa" が鬱重ミドルテンポで始まるが以降はほぼ疾走曲で攻め立てる。前作よりも激烈度の高い作品。此れといった曲が無いのは残念。
Hengen Tulet
![HORNA - Hengen Tulet](/img/article/horna_hengen-tulet.jpg)
- Amadriada
- Ajan päättyessä
- Nekromantia
- Tämä maailma odottaa
- Saatanalle
- Puhdas
- Ikuisuuden kynnyksellä
- Sodan roihu
- Hurmos
- Profeettasi
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の 9th『Hengen tulet』をレビュー。2015年リリース。
珍しくメンバー交代なく制作された9thフルアルバム。基本路線は前作と変わらず。力強く疾走するブラックメタル曲をずらりと揃える。しかし前作と違い今作は曲が良い!7th『Sanojesi äärelle』に匹敵する充実作品だと思う。前作の淡白さは完全払拭された。
力強さの中に暗い哀感を醸すメロディアスさが戻って来ている。獰猛さと無慈悲な攻撃性が混じり合うダイナミックな曲調にこちらのテンションも上がっていく。Spellgoth のボーカルは凄みを増しており彼のボーカルなしでこの剛力スタイルはできなかったのではなかろうか。
#8. "Sodan Roihu" は Horna 節が炸裂。#1. "Amadriada"、#4. "Tämä Maailma Odottaa"、#6. "Puhdas" など良曲多数。
Kasteessa Kirottu
![HORNA - Kasteessa Kirottu](/img/article/horna_kasteessa-kirottu.jpg)
- Yksin ikuinen
- Poltettu
- Yö ja usva
- Enkeliruumiiden tie
- Kruunattu
- Hartaudella
- Antikristus
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の『Kasteessa kirottu』をレビュー。2018年 Zero Dimension Records からのリリース。極初期曲を現メンバーで録音した企画盤。リズム隊が新しいメンバーに交代している。
収録されているのは1995年の1stデモ『Varjoissa』以前から1999年までの未発表曲。元々は Horna 用の曲ではなかった新曲が1曲収録されている。日本語の帯付きで邦題は『祟りの伝授』。Horna 初のアイボリー色の明色基調のインナー。しかも和紙風模様の格調高い仕様。Horna 史上最高に美しい作りのCDで見惚れる。
ここまで音楽の話なし。え〜と、内容の方は地味。Horna らしいプリミティブ・ブラックメタル曲が占めるが古い曲のわりに 1st〜2nd 期のようなねっとりした邪気が薄いのは残念。ブラック・スラッシュ曲があったりしないかと期待したが疾走感のある曲は皆無。初期 Sentenced 風というか、メロディック・デスメタルっぽさがチラホラ聴けるのは興味深い。
Kuoleman Kirjo
![HORNA - Kuoleman Kirjo](/img/article/horna_kuoleman-kirjo.jpg)
- Saatanan viha
- Elegia
- Uneton
- Sydänkuoro
- Elävänä kuolleena
- Kärsimysten katedraali
- Haudattujen tähtien yönä
- Rakas kuu
- Unohtumaton
- Mustat vuodet
- Pyhä kuolema
- Veriuhri
- Ota minut vastaan
フィンランドのブラックメタルバンド Horna の 10th『Kuoleman kirjo』をレビュー。2020年リリース。
洗練と醜穢が同時に為った 10th フルアルバム。作風は前作『Hengen Tulet』から順当進化したもの。疾走曲中心で13曲70分弱。2枚組の『Sanojesi äärelle』を除けば『Haudankylmyyden Mailla 』以来の大ボリューム作品。
洗練は音質。バンド史上最高に硬質明瞭で奥行きのある音は前作まで多少なりとも残っていたアンダーグラウンドバンドらしさを払拭しそうなほど。トレモロリフから立ち昇るような醜穢さには初期作品にあったネットリ感があって初期からのファンとしてはときめきメモリアル。Spellgoth の重厚なボーカルで趣が異なるのは仕方がない。
本作は曲の流れも良い。#1 〜 #3 まで殆ど曲間なく爆走し尽くした後に #4 の重苦しさで沈み込ませる作りは見事。要所で出てくる退廃的溢れるお経のような歌唱法とスローパートが激烈ブラックメタルと違和感なく結合して起伏の激しさを作り出している。
ジャケットがらしくない実写物だったり先行公開された #7 がもっさりした雰囲気重視曲だったので心配したが要らぬ心配だった。音が洗練されようと長い年月に染み付いた邪性を完全に落とせるわけもなく。90年代北欧ブラックメタルの流儀に沿った音楽性は不変。
終盤の厳粛さが素晴らしい #2. Elegia は名曲。内容は素晴らしいがブックレットが少々安っぽ過ぎやしませんか W.T.C. さん。Shatraug と LRH は同年に Vimur のメンバーと Striges の作品もリリースしている。