ABIGAIL Review
目次
- Intercourse & Lust
- Welcome All Hell Fuckers
- Forever Street Metal Bitch
- Alkoholik Metal Blasphemers
- Fucking Louder Than Hell
- Ultimate Unholy Death
- The Early Black Years (1992-1995)
- Sweet Baby Metal Slut
- Reaper's Night
- The Lord Of Satan
- We Are Ugly Motherfuckers
- Sacrilegious Fornication Masscare... Filthy Desekrators!
- The Final Damnation
- Blasphemy Night In Beijing
- 乱心肉獄
- Conqueror Of The Golden Horde / Metal Bitch Violator
Intercourse & Lust
- A Witch Named Aspilcuetta
- Confound Eternal
- The Crown Bearer
- Attack with Spell
- Strength of Other World
- The Bonehunter
- Mephistopheles
- Intercourse & Lust
- Hail Yakuza
Abigail の1stフルアルバム『Intercourse & Lust』をレビュー。1996年リリース。90年代初頭から活動する我が国の最重要ブラックメタルバンドの1つである。
徹底したアンダーグラウンド精神で活動しており、自らの音楽スタイルを "ストリート・メタル"(Street Metal) と称している。中心人物の Yasuyuki Suzuki は Barbatos、Tiger Junkies でも活動。Sigh とも関係が深い。
後のアルバムではパンク・メタル方向へと変遷していくが、この『Intercourse & Lust』時は邪悪なブラック・スラッシュメタルをやっている。
ほぼ全曲が疾走曲で、基本構造は Sodom や Bathory の影響が伺えるスラッシュリフ。その上をしゃがれ声のボーカルが躁状態で喚きまくる。ブラストビートも多用されている。
音質は生々しいが分離がよく各楽器がちゃんと聴き取れる。特にベース(楽器)の音が大きめに調整されているためか威圧的な黒い波動のような物を感じる。
Vader 並みの突進力で迫る爆裂スラッシュ曲 #1. "A Witch Named Aspilcnetta" の邪悪な音塊にのっけから圧倒される。終始アグレッシブに攻め立てるが意外にも曲ごとに個性があって、#4. "Attack With Spell" では Rock'n Roll 風の軽快なノリを。#5. "Strength Of Other World" では後のパンクメタルスタイルのリフも聴ける。
やはり触れておかねばならないのは奇曲 #8. "Intercourse & Lust" と #9. "Hail Yakuza" の2曲。艶本(春本)を語り聴かせるだけのタイトルトラックの前者。極道・任侠映画とブラックメタルを融合させた後者。奇想天外すぎて評価に困るが「さすが ABIGAIL!おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる!あこがれるゥ!」と言っておこう。
個人的には捨て曲なしの大名盤。日本ブラックメタルの基本中の基本。
Welcome All Hell Fuckers
- Hellfire and Damnation
- Yakuza! Yakuza! Yakuza!
- Bloody Japanese Sword
- War 666
- IX / Desert! (Bulldozer cover) (live)
- Heaven's Jail (Bulldozer cover) (live)
- Violence, Kill and Destruction
- Damned in Hell
- Black Metal Thunder
- Hey Slut!
- Violence, Kill and Destruction (live)
- Attack with Spell (live)
- War 666 (live)
Abigail の2001年EP『Welcome All Hell Fuckers』。レビューするのは2010年 Drakkar Productions からの再発盤CD。7曲追加収録。13曲43分。
1〜6曲目がオリジナル音源。1曲目 "Hellfire and Damnation" と4曲目 "War 666" は 2nd フルアルバム『Forever Street Metal Bitch』にも収録される。2曲目 "Yakuza! Yakuza! Yakuza!" と 3曲目 "Bloody Japanese Sword" はこのEPでしか聴けない。5, 6曲目は99年の東京でのライブ音源でイタリアのスラッシュメタルバンド Bulldozer のカバー曲。
新録4曲の作風は 1st『Intercourse & Lust』から殆ど変わっていない。だが、重心が低くグシャッとした邪悪な音像だった 1st から、乾いたジャカジャカした音に変わった事で受ける印象が大きく異なる。ブラックメタルらしさはほぼ無くなり軽快なノリの良さが出始めた作品。どの曲もカッコ良い仕上がりで、特に "Bloody Japanese Sword" と "War 666" は名曲。
7曲目以降が再発に伴う追加収録曲。7〜10曲目は全て2nd収録曲。表記がないので録音時期はわからないが恐らく2ndとは別バージョン。未整理で混沌とした音になっている。
11〜13曲目は2004年のシンガポールでのライブ音源。
Forever Street Metal Bitch
- Violence, Kill and Destruction
- Hellfire and Damnation
- Damned in Hell
- Black Metal Thunder
- Bitch! We Gonna Kill You
- We're the Pussy Hunter
- Shooting Master
- Hey Slut!
- Charge!
- Struggle to Death
- War 666
Abigail の2003年 2nd フルアルバム『Forever Street Metal Bitch』をレビュー。レビューするのは2009年 Drakkar Productions からジャケット違いで再発された再発盤CD。
Abigail 流のパンク/スラッシュメタルが完成した名作2nd。
1st『Intercourse & Lust』以前のドス黒さをパンクとエロで置き換えてキャッチーさを大幅に向上させたといった趣。ドラムのカウントから始まる軽快な曲がストリート感を演出。1st 以前とは全く違う雰囲気に変化した。
と言いつつも、ギターリフや曲の構造そのものの変化は少ない。軽いプロダクションと音の隙間が増えたリフによる印象変化が大きい。前作EP『Welcome All Hell Fuckers』は音が未整理だったが本作はやや重心を低くした音でよりメタルっぽい。
後々までライブで演奏される代表曲を多数収録。前のめりな疾走曲満載で聴いていて気持ちが良い。スラッシュメタル色が濃い作品だが軽快かつキャッチー。1st『Intercourse & Lust』は黒過ぎてダメだったが本作はイケるという方も多いのではないだろうか。
Sign のメンバーがゲスト参加。6曲目 "We're the Pussy Hunter" ではオルガンソロ、9曲目 "Charge!" は 1〜2nd 期の Iron Maiden 風のギターソロが聴ける。
Alkoholik Metal Blasphemers
- Korihor - Iniquity of His Sapience
- Korihor - Trident Sermon
- Korihor - Hellexekution (Alkoholik)
- Korihor - Gyltas of Heofunum
- Abigail - Grotesque Nightmare
- Abigail - Death of Life
- Abigail - The Fire of Hell
- Abigail - Lucifer Sings
- Abigail - Confound Eternal
- Abigail - The Ultimate Fight
- Abigail - Ilona the Very Best
- Abigail - Impotence
Abigail とフィリピンのブラックメタルバンド Korihor のスプリット『Alkoholik Metal Blasphemers』をレビュー。2003年リリース。
Korihor
フィリピンのブラックメタルバンド。野暮ったい感じのメロディック・ブラックメタルに Catamenia あたりが頭に浮かぶ。90年代にはこういうバンドが沢山いたなぁと懐かしくなってくる。
ウォー・ベスチャル系っぽいメンバーの出立からは予想だにしない北欧型のしっかりとしたブラックメタルで悪くない。Split 相手と違ってちゃんとしてるなぁ〜という印象。親切に歌詞も載せてくれている。
Abigail
まさかの初期リハーサル音源とボロクソライブ音源をぶつけてくる無慈悲な Abigail。Korihor は怒っていい。
前半 #5~#8 は92年『Demo 1』収録曲のリハ音源。#9 以降の4曲が98年のライブ音源。#11、#12 はイタリアのスラッシュメタルバンド Bulldozer のカバー。
Fucking Louder Than Hell
- Satanik Metal Fucking Hell
- Beer! Metal! Sex!
- Hell's Necromancer
- Nuclear Warheads
- Prophecy of the Evening Star
- At War
- Holocaust
- Evil Dead (NME cover)
- Speed Kills (NME cover)
- Of Hell (NME cover)
日本のブラック・スラッシュメタルバンド Abigail の3rd『Fucking Louder than Hell』をレビュー。2004年リリース。レビューするのは Zero Dimensional Records から2018年にリリースされた初CD化盤。
前作『Forever Street Metal Bitch』からギタリストが脱退して二人組バンドとなった。本作では Yasuyuki Suzuki がギターを兼任。
4曲が次作『Ultimate Unholy Death』にも収録、3曲がカバー曲、"Prophecy of the Evening Star" も Barbatos で既発。CDで後追いした身からすると企画盤の様な感じの 3rd フルアルバム。
演奏に緊張感が感じられずまったりとした印象のアルバム。これまでの Abigail の作品より『Tiger Junkies』に似た弛緩した雰囲気でブラックメタル曲にも剣呑さを感じられない。
曲は極めてシンプル。大まかに #1, #2, #3, #5 がパンク・スラッシュ。#4, #6, #7 がブラックメタル。#4, #6 が80年代ブラックメタル風なのに対して、#7 が Mayhem を連想させる北欧型のブラックメタル曲なのが面白い。#6 と #7 は本作でしか聴けない曲。
#8〜#10はアメリカのブラック/スラッシュメタルバンド NME のカバー。3曲とも 1st『Unholy Death』から。マニアックな選曲は流石。
Ultimate Unholy Death
- Bitch! Your My Angel
- Shoot to Kill and Die
- Satanik Metal Fucking Hell
- Hell's Necromancer
- Black Princess of Hell
- I Am Holocaust
- Ready for Fucking Drunk
- Metal Got Sick
- Nuclear Warheads
- Beer! Metal! Sex!
Abigail の 4th フルアルバム『Ultimate Unholy Death』をレビュー。2005年リリース。レビューするのは2013年の Nuclear War Now! Productions からの再発盤。
ブレない Abigail。名盤 4th フルアルバム。前作『Fucking Louder Than Hell』、前々作『Forever Street Metal Bitch』と同じ路線のパンク・スラッシュメタル作品。緩い内容の前作よりは前々作に近い。本作も中心人物の Yasuyuki Suzuki とドラマーの Youhei で作成。後に正式メンバーとなる Jero がギターソロで参加している。
緊張感の高さが前作とは段違い。パンクの荒っぽさとメタルの緊迫感が理想的な塩梅で融合している。前のめりなリズムでほぼ全編を疾走しつくす爽快さも堪らない。カラッとした音でこれまで以上に陽気さを感じる。初期のような北欧型ブラックメタルの要素は消えたと言ってよい。
1st の頃の Bathory 風のリフがカッコ良すぎる #5. "Black Princess Of Hell" と #6. "I Am Holocaust" は必聴。似たようなリフだが Abigail にそれを言うのは野暮。その他にもライブ定番曲を多数収録。
The Early Black Years (1992-1995)
- Intro
- Grotesque Nightmare
- Death of Life
- The Fire of Hell
- Lucifer Sings
- Lucifer Sings
- Blasphemer (Sodom cover)
- Equimanthorn (Bathory cover)
- A Witch Named Aspilcuetta
- The Lord of Satan
- Mephistopheles
- Count Barbatos
- War (Bathory cover)
- Black Witch
- Cut Throat (Bulldozer cover)
- Possessed (Bathory cover)
- A Witch Named Aspilcuetta
- Attack with Spell
日本のブラックメタルバンド Abigail の初期音源集『The Early Black Years (1992-1995)』をレビュー。2007年リリース。
我が国が誇るカルト・ブラックメタルバンドの原点を臨む極悪音源。現在のスタイルとはまったく違う音なのでパンク・スラッシュの Abigail から入ったファンは要注意。カバーをしている Sodom、Bathory、Bulldozer といった80年代極悪スラッシュメタルバンドを糧に邪悪に染まりきった音が煽動する壮絶な作品である。やはり聴き処は極初期のデモからの前半曲。初期からのマニア諸氏には必須アイテム。
デモ音源の #9. "A Witch Named Aspileuetta" まではウォー・ブラックメタルの領域に達する激烈さ。イントロの印象的なフレーズがなければ原曲がわからない程にグシャグシャになった #7. "Blasphemer" は Blasphemy のよう。これを聞くと初期 Sodom を極端に過激化させたらウォー・ブラックメタルができあがるなと感慨深いものがある。各曲の元は以下。
- #1〜#5:1st demo "Demo 1" 1992
- #6〜#9:2nd demo "Blasphemy Night" 1993
- #10〜#12:1st 7' EP "Descending from a Blackened Sky" pre production recording 1993
- #13:Live recording 11/8/1992 at Sapporor
- #14:Live recording 6/10/1992 at Tokyo
- #15〜#16:Die Hard Rehearsal October 1992
- #17〜#18:Unreleased promo tape 1995
Diaboli みたいな(つまり 3rd頃の Bathory)北欧ブラックメタルスタイルの #10. "The Lord Of Satan" は名曲。CDにクレジットがないが #13. "War" もBathoryのカバー。これもサビまで行かないと気付かない程崩壊している。#14. "Black Witch" は『Welcome All Hell Fuckers』のカセットにのみ収録された貴重な曲。
Sweet Baby Metal Slut
- Metal Evil Metal
- Metal Bitch Inferno
- Satanic Hell Slut
- Sweet Bloody Cunt
- Tokyo Pussy Girl
- Teenage Metal Fuck
- Wild Fire Metal Bitch
- Final Metal Attack
- Witching Hell
- Sexual Metal Holocaust
日本のパンク・メタルバンド Abigail の 5th『Sweet Baby Metal Slut』をレビュー。2009年リリース。
イントロのギターメロディがライブで合唱となるアンセムと化した #1. "Metal Evil Metal" で幕をあける 5th フルアルバム。ブレイクを挟んでの暴走リフ一発で掴みは完璧。頭からケツまで Abigail ファンが決して裏切られることはない極上パンク・メタル作品である。
メタルと女のほかに何もいらねぇとばかりに享楽にふけった感がある。歌詞の語彙力の無さは過去最高。少ない単語でこれほど歌詞を量産できるのだから逆に凄いとも言える。「ブラックメタルこそが我が道、毎日信念を守る」とか歌っていながらブラックメタルっぽさはない。
ボーカルがひっくり返るような喚きを多用するためヒャッハーな感じが増して愉快痛快。今回はハードコア・パンク風のリフが目立つ粗っぽい作品になっている。前作の緊迫感が少し和らいだ気がするがこれまでと同様に疾走感抜群の曲が揃っていて快楽指数高。カッコよければ全て良し!
Reaper's Night
- Abigail - Desecrator
- Abigail - Virgin's Blood
- Abigail - Morbid Screams
- Abigail - Bloody Vampire
- Abigail - Crush the Holy Priest
- Sign of Evil - Baphomet's Church
- Sign of Evil - Sign of Evil
- Sign of Evil - Venom Metal
- Sign of Evil - Witches Burn
Abigail と Sign of Evil のスプリット『Reaper's Night』をレビュー。2011年リリース。
Sign of Evil
イタリアの3人組スラッシュメタルバンド。ボーカルは女性。Venom やデビュー当時の Sodom、Kreatore あたりを思い出させるブラック・スラッシュメタルを演っている。
ジリついたギター音で手垢のついたリフを勢い任せに鳴らし走る。独特なアクセントのボーカルと軽快なノリのリフにベビーサタン感があって悪くないんじゃなかろか。
既に解散していてこのスプリットが唯一の音源となった模様。結構楽しめた。
Abigail
新曲を5曲収録。『Sweet Baby Metal Slut』と同じメタルパンク路線。
猛烈な速度で突っ走る #1. "Desecrator" がカッコ良い。他はまあまあといった所。新曲とはいえ既視感たっぷりないつもの Abigail。
The Lord Of Satan
- Attack with Spell
- Dead God King of Kemet
- The Crown Bearer
- We Shall Not Await the Dawn
- Darkness Steals
- Swing Your Hammer
- The Lord of Satan
- Mephistopheles
- Descending from a Blackend Sky
- Count Barbatos
- Mephistopheles
- Confound Eternal
日本のブラック・スラッシュメタルバンド Abigail の『The Lord of Satan』をレビュー。2011年リリース。『The Early Black Years』同様に初期音源をまとめたコンピレーションCD。各曲の出どころは以下。
- #1〜#5:1995年の Funeral Winds とのスプリット『Screaming for Grace / Abigail』
- #6〜#10:1994年EP『Descending from a Blackend Sky』
- #11〜#12:1996年EP『Confound Eternal』
『The Early Black Years』とは『Descending from a Blackend Sky』が被るが『The Early Black Years』では省かれていたインスト曲 "Swing Your Hammer" と "Descending from a Blackend Sky" が本作にはちゃんと収録されている。
筆者は『Screaming for Grace / Abigail』目当てで入手。#2. "Dead God King Of Kemet"、#4. "We Shall Not Await The Dawn" はこのスプリットでしか聴けない。この当時の Abigail ならではの黒音を畝らせつつ猛烈に突っ走る剣呑なブラックメタル曲。
『The Early Black Years』に続けてきくとバンドが段々と整合性と躍動感を高めていくのがわかる。93年の『Blasphemy Night』デモあたりまでは本当にメタクソだが軽快なリフ捌きによるキャッチーさを身に付けたのが大きい。これが名盤1st『Intercourse & Lust』へと繋がっていく。
We Are Ugly Motherfuckers
- Abigail - Total Mayhem
- Abigail - Devil's Message
- Abigail - Satan in Pentagram
- Abigail - Sex with Bitch
- Abigail - Hell's Necromancer
- Bömber - Hardrocker Gangsters
- Bömber - High Grade in Alcohol
- Bömber - Red Light City
- Bömber - Adictos a los Puterios
- Bömber - Doomsday (Discharge cover)
- Bömber - Burning Hell (Brainbombs cover)
Abigail と Bömber のスプリット『We Are Ugly Motherfuckers』をレビュー。2014年リリース。ジャケットが税関検査に引っかかったらしい500枚限定のマニア向けスプリットCD。
ABIGAIL
Abigail は5曲収録。#5. "Hell's Necromancer" 以外はこのスプリットでしか聴けない。聴く価値があるかどうかは別問題で4曲ともやっつけ仕事感の強いパンクメタル曲。無理して聴く必要もない駄曲。"Hell's Necromancer" はいつ聴いても剣呑でカッコ良い。
BÖMBER
Bömber はチリのパンクメタルバンド。Discharge と Brainbombs のカバーを含む6曲収録。名前から察せられる通り Motorhead の影響下にある音をハードコアに寄せたような音楽性。
どの曲もコンパクトかつスピーディ。図太い声のボーカルと乱暴な演奏で力任せにブチかます気持ち良いパンクメタル。砂利っぽい音が Hammr みたいで中々良い。ライブはもっと凄そう。
Sacrilegious Fornication Masscare... Filthy Desekrators!
- Abigail - Blood Sathanas
- Abigail - We Are True Evil
- Nocturnal Damnation - Anneliese Death Ritual
- Nocturnal Damnation - Dominion of Antichrist
日本のブラックメタルバンド Abigail の『Sacrilegious Fornication Masscare... Filthy Desekrators!』をレビュー。韓国ソウルのデス/ブラックメタルバンド Nocturnal Damnation との4曲入りスプリットCD。2016年リリース。
Abigail
#1, #2 が Abigail。2曲とも新曲でこの作品でしか聴けない曲。ブラックメタルスタイルへの揺り戻しが起きた『The Final Damnation』と同時期の録音。『The Final Damnation』収録曲以上にブラックメタル然とした曲になっている。
どちらの曲も Abigail らしいスラッシュメタルの息吹を感じさせる簡素なリフで構成されたブラックメタル。ブラストビート全開。いかれたギターソロが何度も切り込んで剣呑に攻め立てるカッコ良い曲である。
スプリットCDのみの収録にしておくには勿体無い。そろそろスプリット収録曲をまとめて編集盤リリースして欲しい。
Nocturnal Damnation
#3, #4 が Nocturnal Damnation(Metallum) の曲。
ウォーブラックメタル寄りのデスメタル。1st『Onward to Golgotha』期の Incantaion に近い音で重低音に周りを取り囲まれて息が詰まりそうになる音楽性。Demoncy の『Joined in Darkness』にも似た閉塞感を感じさせる。
Incantaion 程にダイレクトに低音が迫り来る感じではなく、タカタカした軽い音のブラストビートが軽快さをも感じさせる。途轍もなく凶暴な音だがノリの良いリフが出てきたり不思議と聴き易い。これはカッコ良し!
The Final Damnation
- The Final Damnation
- Blasphemy Night
- Whisky Coke and Bitch
- Sex & Metal
- Open the Gates of Hell
- No Pain! No Limit!
- Sweet Baby Metal Sluts
- Holocaust by Evil
日本のブラック・スラッシュメタルバンド Abigail の 6th『The Final Damnation』をレビュー。2016年リリース。
Abigail 流 "Hell Awaits" といった感じのタイトルトラック #1 とブラストビート炸裂の #2. "Blasphemy Night" のドス黒い猛攻に即屈伏させられる。邪悪なブラック・スラッシュメタル路線に大幅回帰したフルアルバム6作目。筆者にとっては喜ばしい初期回帰作。
過去作では 1st『Intercourse & Lust』が最も近い。スラッシュメタルリフや長いギターソロの増加、ツインリードや起伏ある曲展開が聴けるあたりかなり意図的にメタル方向に転換させた印象。『Intercourse & Lust』ほどの剣呑さは感じないがメタル的な構築感で言えば本作の方が上だろう。
ボーカルは近年の高音ヒャッハー様式のまま。日本語で歌う曲もある。露骨なパンクメタル曲は少ないがこれまでのノリの良さを随所に残している。急速旋回に強引さを感じなくもないがこれまでの集大成と言える作品で曲は粒ぞろい。ストレートな作風の激烈メタルで入門作としても相応しい。
Blasphemy Night In Beijing
- The Final Damnation
- Teen Age Metal Fuck
- Satanik Metal Fucking Hell
- Hells Necromancer
- Attack with Spell
- The Fire of Hell
- Violence, Kill and Destruction
- Bitch! We Gonna Kill You
- Rocking Metal Motherfucker
- Prophecy of the Evening Star
- Hail Yakuza
- War 666
- Metal Evil Metal
- Bitch! Your My Angel
- Charge!
Abigail のライブ盤『Blasphemy Night in Beijing』をレビュー。2017年リリース。レビューするのは500枚限定CD盤。2017年9月16日の北京公演を収めたライブ盤。
ベストと言える選曲、演奏と音質が適度に荒く生々しい素晴らしいライブ音源。オーディエンスの立ち話っぽい声まで聴こえてくる程の臨場感。どの曲もスタジオ作以上の速さと激烈さで暴れまくる。
さすがは世界中を巡業してまわるストリートバンド。アンダーグラウンドの熱気が充満している。ただスタッフかなんか知らんがコソコソ話がバンドの演奏よりも近くで聴こえるってのはどうよ。
各年代からまんべんなく選曲されていて現時点最新作『The Final Damnation』のPR選曲になっていないのは中国初上陸という事情故か。
スタイルの変遷があったバンドにも関わらず通して聴くと違和感がない。"Attack with Spell" はやたらと演奏されるが他に良い曲が沢山あると思うんだけどなぁ。Abigail 入門にも良い1枚。
本作のジャケットTシャツを公式ショップから購入したが田舎で着るのにちょいと躊躇われる絵柄でそそられる。
乱心肉獄
- Abigail - Lust
- Abigail - Satan's War
- Abigail - Apocalyptic Nuclear Hell (extreme mix)
- Abigail - Prophecy of the Evening Star (extreme mix)
- Tractor - D.B
- Tractor - R.F.T.P
- Tractor - M.E.F.M
- Tractor - Rabies Is a Killer (Agony Bag cover)
Abigail『乱心肉獄』をレビュー。中国のバンド Tractor との Split CD。2018年リリース。両バンド共4曲づつ収録。Thrashing Cult Records Bandcamp で視聴・購入ができる。
ABIGAIL
先頭2曲が新曲、残り2曲が定番曲の別バージョン。どの曲も良曲で Split 収録で終わらすのが勿体無い。いつかフルアルバムにも収録されることを望む。
1曲目 "Lust" はブラストビートが炸裂する初期スタイルのブラックメタル曲。スラッシュメタルっぽさが殆どなく、どちらかというと北欧スタイルのブラックメタル曲。2曲目 "Satan's War" はドカドカしたリズムで疾走するパンク・スラッシュメタル曲。
3〜4曲目は Sabbat の Gezol がサビのボーカルをとる2005年のセッション音源。これが原曲を超える非常にカッコ良い仕上がり。Gezol の如何わしげな歌い回しが曲によく合っている。
"Apocalyptic Nuclear Hell" は Barbatosの曲、"Prophecy of the Evening Star" は 2004年の3rd『Fucking Louder than Hell』収録曲。
TRACTOR
中国のパンク・メタルバンド。解散済み。以下省略。
Conqueror Of The Golden Horde / Metal Bitch Violator
- Inferno Requiem - Northern Barbarian King
- Inferno Requiem - Black Wind Fortress
- Inferno Requiem - Conqueror of the Golden Horde
- Abigail - Metal Bitch Violator
- Abigail - Satanik for Slaughter
- Abigail - Grave Reaper
- Abigail - Morbid of Doom
Abigail と Inferno Requiem のスプリットEP『Conqueror of the Golden Horde / Metal Bitch Violator』をレビュー。2020年リリース。Inferno Requiem(metallum)は台湾のブラックメタルバンド。
Inferno Requiem
前半3曲が Inferno Requiem。Inferno Requiem は台湾の1人ブラックメタルバンド。Metallum によると1999年から活動している古株である。メンバーは現在沖縄在住。筆者はこれが Inferno Requiem 初体験。
音楽性はメロウなリフを中心としたプリミティブ・ブラックメタル。Sargeist などのフィニッシュ・ブラックメタル、または Délétère などのケベック産バンドに似た勇壮なメロディ使いが目立つ。音質は粗め。薄っすらキーボードを背景に邪悪に疾走する様は『To the Gates of Blasphemous Fire』期の Nokturnal Mortum を想わせる部分も。ノイズの中から溶け出して来るメロディの扇情力は相当高い。
#3. "Conqueror of the Golden Horde" は10分越えの大作。剣の交わる音や馬の嗎に嫌でも戦場をイメージさせる勇壮かつ壮大な叙事詩曲。いや〜素晴らしい。また1つ良いバンドに出会えた。Abigail に感謝。このバンドは要チェックや!
Abigail
Inferno Requiem 聴後の感動を即座にぶっ壊す無慈悲な Abigail。
知性...じゃなくて、音楽性の全然違うバンドなんだから2バンド間にもうちょっと間をとって欲しかった。"蛍の墓" の直後に "デトロイト・メタル・シティ" が始まるくらいに空気が一変する。
Abigail はいつもの Abigail。新曲4曲、ブラックメタル2曲にパンク・メタル2曲。いつにも増して雑ではっちゃけた感じがする。今作はギターソロが派手で耳に留まる。どっかで聴いたことがあるような曲ばかりなのは相変わらず。Abgail はそれでいいのだ。