DEMONCY Review
Faustian Dawn
- Whispers of Undesired Destinies
- Winter Bliss
- Satanic Psalms
- Descending Clouds of Immortality
- Denial of the Holy Paradise
- The Enchanted Woods of Forgotten Lore
- Hidden Path to the Forest Beyond
- The Chill Winds of Time
- Fullmoon Twilight
- Departure of the Dismal
アメリカのブラックメタルバンド Demoncy のデモ『Faustian Dawn』をレビュー。1993年リリース。レビューするのは Nuclear War Now! Productions からの2016年再発盤。
1989年結成の米国最古参ブラックメタルバンドの一つ 。喉を震わせ鳴らしながら歌う怨霊のようなボーカルが怖すぎる超絶原始的なブラックメタル。
北欧ブラックメタル第2波を通過せずに、Hellhammer の影響から直接的に形成されたのではないかと思われる病的で凄惨な響き。南米ベスチャルブラック勢にも通じる凶悪なスタイル。アメリカの Von やフィンランドの Beherit、Archgoat とも共通項のある音である。
ペラシャリではない音質は、この時代のプリミティブ・ブラックメタルのデモにしてはまともな方。低めの音像が沈鬱でドロ〜ンとした雰囲気で余計に怖い。曲がブツ切りで終わるのも不安感しか煽らない。
以前は人であった何かが夜の山中を徘徊しているかのような光景が脳裏に浮かぶ。聴き手を恐怖の渦に引き摺り込む蟻地獄音源。迂闊に手を出してはイケナイ。
Within The Sylvan Realms Of Frost
- Nighthood of the Moonlit Realm
- Abysmal Shores of the Dark Lands Beyond the Sun
- In Winter's Ancient Slumber
- The Final Battle for Our Glorious Satanic Empire
- Within the Sylvan Realms of Frost
- Commencement of the Dark Crusades
アメリカのブラックメタルバンド Demoncy の 1st『Within the Sylvan Realms of Frost』をレビュー。1999年リリース。レビューするのは2017年の Nuclear War Now! Productions 盤。オリジナルに収録されていたデモ音源は含まれない全6曲入り。
録音自体は1995〜1996年。1996年デモ『Commencement of the Dark Crusades』収録曲にタイトルトラックを追加したもの。中心人物である Ixithra 以外のメンバーが交代。プリミティブ過ぎる極悪音を出していたデモ『Faustian Dawn』から音が変化。Darkthrone 系のトレモロリフが吹雪く北欧型寄りのプリミティブ・ブラックメタルになった。
とはいえ薄ら寒い恐怖を感じる音の本質は不変。反復される無情なリフによる強烈な地下臭。空虚に鳴るキーボード。冷たさや不気味さと共に音から極度の虚無感が滲み出る。鬱系ブラックメタルとは違った手法で絶望感が表現された Demoncy らしい作品である。
人間離れしていた前任者よりは真面だが新ボーカルも相当に凶悪な声の持主。じわじわと浸透していき形容しがたい恐怖心を芽生えさせる音である。筆者にとっては Demoncy の最高傑作、だが取扱注意作品のため大っぴらにはオススメしないでおこう。
Joined In Darkness
- Hymn to the Ancients
- Impure Blessings (Dark Angel of the Four Wings)
- Demoncy
- Joined in Darkness
- Winter Bliss
- Hypocrisy of the Accursed Heavens
- Spawn of the Ancient Summoning
- Hidden Path to the Forest Beyond
- (Angel of Dark Shadows) Goddess of the Dark
- The Dawn of Eternal Damnation
- Embraced by the Shadows
アメリカのブラックメタルバンド Demoncy の 2nd『Joined in Darkness』をレビュー。1999年リリース。
中心人物の Ixithra 1人で製作した 2nd。これも取り扱い注意。北欧的作風の 1st『Within The Sylvan Realms Of Frost』から一変。デモ期の極悪性を大いに取り戻した拷問道具にすらなりそうな闇音源。
単調なリフとリズム。前任者達に劣らぬ禍々しいボーカル。そこに覆い被さる重低音が背後から追いかけてくるように鳴り響く。異様な威圧感に恐怖を覚える。重い空気が纏わり付いて息苦しく感じる音像は初期の Incantation と共通する。
これはどういう心境の時に聴けば良いのか。真剣に聴き入ろうとすると最後まで耐えるのは相当にキツい。聴後には何かに取り憑かれたかのように体が重く感じる孤高の1枚。