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Délétère Review

目次

  1. Les Heures De La Peste
  2. De Ritibus Morbiferis - Demo Compendium
  3. Per Aspera Ad Pestilentiam
  4. De Horae Leprae
  5. Theovorator: Babelis Testamentum
  6. Songes D'une Nuit Souillée

Les Heures De La Peste

Délétère - Les Heures De La Peste
  1. Portepeste
  2. Credo II
  3. Exitiabilis Venatus
  4. Aux thaumaturges égarés, une étoil nécrosée
  5. Une charogne couronnée de fumier
  6. Le lait de l'essaim
  7. Architectes de la peste
  8. Une garce vénale en majesté

カナダ ケベック州のブラックメタルバンド Délétère。2015年リリースの 1st『Les Heures De La Peste』をレビュー。

殆どノイズ寸前のギターと引っ込み気味でバタバタしたドラム、そこに埋もれる絶叫ボーカル。低予算音質、高勇壮度のメロディック・ブラックメタル。ブラックメタルらしい激烈さや邪悪さよりも壮大で悲壮感を感じさせるような作風である。

キンキンした音のギターが搔き鳴らす勇ましいメロディをシンセサイザーが浮き立たせ曲を劇的に盛り上げていく。あくまで主役はギターによるメロディでキーボードは補助的に使用されている。後半はメロウ度が一際高まる。ファンタジックなメロディが炸裂し煽情的に突っ走るストレートな曲には高揚感を覚えずにはいられない。

歌詞はフランス語。タイトルは『ペストの時代』(筆者意訳)。曲タイトルもそれらしいものがいっぱいあるのでコンセプトアルバムなのかもしれない。音楽性でいうとフィンランドのバンドに似た部分も多いが、フランス語圏出身故かこのバンドも北欧バンドとは違った独特の雰囲気を感じさせる。

メロディの煽情力は相当高い。音質がかなり苦しいので次作で改善されることを願うばかり。Satanic Warmaster や White Death などが好きな方におすすめ。

De Ritibus Morbiferis - Demo Compendium

Délétère - De Ritibus Morbiferis - Demo Compendium
  1. Credo
  2. Une lampée de ciguë
  3. Le cantique des vers
  4. Le caveau
  5. Escarre
  6. Milites pestilentiae
  7. Sales vestales
  8. Terveneficus
  9. Sacrificium necrothytum

Délétère のデモ音源集『De Ritibus Morbiferis - Demo Compendium』をレビュー。1st『Les Heures De La Peste』と同日リリース作品。

1st デモ『Inopia et Morbo』(2012)と 2ndデモ『Sacrificium Necrothytum』(2013)を収録。全9曲52分。

Inopia et Morbo

前半5曲が『Inopia et Morbo』。このデモの方が 1st フルアルバムより音質が良いのは何故???1st のポンコツさは微塵もないまともな音をしている。

作風はミドルテンポ主体のメロディック・ブラックメタル。1st にあるような勇ましさは無く退廃的な雰囲気を淡々と醸し出す内容になっている。

Sacrificium Necrothytum

後半4曲が『Sacrificium Necrothytum』。

このデモで Délétère ブラックメタルが完成。1st と同路線の作風で初っ端からキーボードを絡めた勇ましいメロディ展開を楽しめる。7曲目 "Sales Vestales" はモロに Satanic Warmaster 風でメロディック・ブラックメタル愛好家は悶絶必死の曲ではなかろうか。

Per Aspera Ad Pestilentiam

Délétère - Per Aspera Ad Pestilentiam
  1. I - Incipit: Noster Fructus Irae
  2. II - Le lai de la vermine
  3. III - Horae Leprae: Cantus IV: I.N.O.P.I.A E.T. M.O.R.B.O.
  4. IV - Milites Pestilentiae II: De Violatione Ciuitatis Febilis Dei
  5. V - Ordo Regis Caedis

Délétère の5曲入りEP『Per Aspera ad Pestilentiam』をレビュー。ケベック産メロディック・ブラックメタルバンドの2017年リリース作品。

これはイイ!めちゃくちゃイイ!メロディック・ブラックメタル愛好家は何度も絶頂させられるであろう一品である。

1st『Les Heures De La Peste』もメロディの良さが光る作品だったが、その長所を引き継ぎつつ凡ゆる面でレベルアップ。音質、演奏共に引き締まった感があり曲により緩急がついてドラマ性が高まった印象。ボーカルの表現力も向上している。

イントロの1曲目 "Incipit: Noster Fructus Irae" を除く全曲が疾走曲で衝撃度の高い曲がずらりと並ぶ。イカれた宗教儀式みたいな序曲に続く2曲目 "Le Lai De La Vermine" 冒頭の勇ましいメロディとキレキレの爆走、気合入りまくりの絶叫「ウイィィァァア"ア"ィ"ィ」を聴くだけで拳に力が入る。1:15あたりからの感傷的なメロディ展開も感動モノ。

その後もメロディックかつ劇的な曲が続く。これまでも垣間見せていた宗教色のあるパートも要所に顔を出す。後半の曲は複雑さを増すがメロディックな基本軸は外さず難解さは無い。

見事に筆者がこのバンドに求める音像を体現してくれた作品。素晴らしい!この路線でのフルアルバムに期待が高まる。

De Horae Leprae

Délétère - De Horae Leprae
  1. Cantus I - Teredinis Lepra
  2. Cantus II - Sagina Caedendis
  3. Cantus III - Ichthus Os Tremoris
  4. Cantus IV - Inopia et Morbo
  5. Cantus V - Figura Dysphila
  6. Cantus VI - Barathra I
  7. Cantus VII - Barathra II
  8. Cantus VIII - Atrum Lilium
  9. Cantus IX - Oratio Magna

Délétère の2ndフル『De Horae Leprae』をレビュー。2018年リリース。これまで2人体制のバンドだったが今作ではギター2人とドラマーが加入して5人組バンドになっている。

期待通りの出来。前作EP『Per Aspera Ad Pestilentiam』と同路線の作風でEPが気に入った方は期待を裏切られることはないと思う。

より長尺の曲が増えており7分超の曲が4曲、全9曲ランニングタイム1時間4分もある。その分以前より展開の凝った曲が多く、じっくりと曲を盛り上げ聴かせ所を設けている感じを受ける。

だからといって退屈になったという事はなく、勇壮なメロディ満載の疾走曲が否応無しに気持ちを高ぶらせる。次から次へと煽情的なメロディが繰り出され一大英雄叙事詩といった様相を呈している。メロディック・ブラックメタル愛好家は必須の一枚である。

珠玉のメロディの聴ける名曲レベルの曲揃い。敢えてお気に入りを選ぶと "Cantus I – Teredinis Lepra"、"Cantus III – Ichthus Os Tremoris"、"Cantus VIII – Atrum Lilium" 等が感動モノ。まさに英雄譚といった感じの勇壮で劇的な疾走曲で筆者の秘孔を突きまくる。

ジャケットがこれまで以上にネクロな絵になったが内容は全くの別物。気味の悪いジャケットで損をしてないと良いけど、などと余計な心配をしてしまう程の素晴らしい一品。

Theovorator: Babelis Testamentum

Délétère - Theovorator: Babelis Testamentum
  1. Theovoratoris Aduentus
  2. Babel Insanifusor
  3. Milites Pestilentiae III - Babylonia Magnissima

カナダのブラックメタルバンド Délétère のEP『Theovorator: Babelis Testamentum』をレビュー。2019年リリース。

前作2nd『De Horae Leprae』から1年と経たずに発表された3曲入りEP。トータル20分ちょっとで作品自体に物足りなさはあるけど精力的に活動してくれるのは嬉しい限り。

初めてジャケットが色物になったので少し心配したが作風は『De Horae Leprae』から全く変わっておらずファンは安心して聴ける。前作よりドラムがポコポコした音で引っ込んでしまったように聴こえるが、ハッキリ言ってこのバンドのドラムの音は作品ごとに劣化しているので気にならない。肝であるメロディックなトレモロギターは全編で炸裂している。

デモ集『De Ritibus Morbiferis - Demo Compendium』収録の "Milites Pestilentiae"、『Per Aspera Ad Pestilentiam』収録の "Milites Pestilentiae II: De Violatione Ciuitatis Febilis Dei" に続く "Milites Pestilentiae" シリーズの第3弾 "Milites Pestilentiae III - Babylonia Magnissima" が悲壮感の漂うドラマティックな曲で素晴らしい。これぞ Délétère といった感動曲。

ファンは買って損なし!

Songes D'une Nuit Souillée

Délétère - Songes D'une Nuit Souillée
  1. Chasse obscène
  2. Sacre de la perversion
  3. Foutredieu
  4. Messe scandaleuse
  5. Sonata Impudicitiae
  6. Lex Syphilii
  7. Le labour des chairs
  8. La nuit souillée

カナダのブラックメタルバンド Délétère の 3rd『Songes d'une nuit souillée』をレビュー。2023年リリース。

2021年の Sarkrista との Split は従来通りの作風だったのだが、今作ではちょっと嬉しくない方向へ舵を切ってきた。端的にメロディがつまらない。肝であった心昂せてくれる雄々しいメロディが消えてしまったのが悲しい。

シンセとトレモロリフを絡ませた疾走曲中心のブラックメタルはこれまでと変わらないので、やはり即効性メロディの無さに尽きる。待ち焦がれた感情の揺さぶりがなくモヤモヤする。#7. "Le Labour des Chairs" は結構頑張っているが。

メロディだけでこんなに印象が変わるか〜という感じだが、それくらい前作『De Horae Leprae』が凄かったという事。薄っぺらい音質も改善(ギターが3人になっている)されて垢抜けたが大事な物が抜けてる。

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  1. Les Heures De La Peste
  2. De Ritibus Morbiferis - Demo Compendium
  3. Per Aspera Ad Pestilentiam
  4. De Horae Leprae
  5. Theovorator: Babelis Testamentum
  6. Songes D'une Nuit Souillée