HALPHAS Review
Dawn Of A Crimson Empire
- Summoning
- Call from the Depths
- Through the Forest
- Sword of the Necromancer
- FMD
- Malice
- Damnation of the Weak
- Empire
ドイツの5人組ブラックメタルバンド Halphas の 1st『Dawn of a Crimson Empire』をレビュー。2017年リリース。本作以前にデモを1本リリースしている。
これは未聴だったのが悔やまれる良質の掘り出し物。いままでトンと名前を聞かなかったのが不思議なくらいのブラックメタルバンドだと思う。
音楽性は冷気を振りまきながら疾走する荘厳なブラックメタルで Dark Funeral を連想させる。無理やり1文で音楽性を表現すると、Dark Funeral の冷え冷えとした邪悪さを大仰な厳粛さで置換した感じ。影響源に Bathory、Dissection、Enslaved、Ulver、Sargeist を挙げていたが納得の堂堂たる音を出している。ジャケットの雰囲気に音楽が良く合っている。ファストパートの爆走感は Dark Funeral にも劣らないものだが、それぞれ個性有るブラックメタル曲は激しくも非常に聴きやすい。
ボーカルがかなりの器用者。気合の入った絶叫ボーカルは勿論、声色を使い分けたり、邪悪な声のままメロディを追ったり、ジャケットの骸骨司祭に成り切るに十分な表現力を持っている。
曲は粒揃い。お気に入りは #4. "Sword of the Necromancer" と 最後の9分超えの #9. "Empire"。特に "エンパ〜イギャー" の絶叫が凄まじい後者は Halphas の魅力を全てブチ込んだ劇的な大作。激しくダイナミックなブラックメタルから少しづつ落ち着いていき、アコースティックギターで締めるエンディングは感動モノ。
同じくドイツの Sarkrista や Eternal Alchemist に近い音楽性だが Halphas の方がより重厚で荘厳さがある。激オススメ!
The Infernal Path Into Oblivion
- Into Eternity We Ride
- Monument of Blood
- Bones and Dust
- Temple of Oak
- A Grave in the Sands
- The Narrow Descent
- Forever Spellbound
ドイツのブラックメタルバンド Halphas の 2nd『The Infernal Path into Oblivion』をレビュー。2019年リリース。
これは素晴らしい!前作『Dawn of a Crimson Empire』も良い作品だったが更にスケールアップ。作風はそのままに早くも貫禄を感じさせる程の充実作である。前作で籠絡された方なら今作も間違いなく刺さるだろう。年の瀬にまた凄い作品が出てきたモンだ。
アルバムジャケットが簡素になったので前作の仰々しさが失われていないかと懸念したが無用な心配だった。荘厳さを纏ったまま猛々しく爆走する起伏に富んだブラックメタルと芝居掛かったボーカルは健在。ドラマ性、メロディの扇情力ともに前作以上。
決して甘くなりすぎないメロディ使いで大仰な世界観を描き出している。これほど攻撃的なブラックメタルバンドに対して使うのも変だが気品の宿る音である。
短い時間の中で劇的な展開を聴かせる #3. "Bones And Dust" と 前作の "Empire" と同様の Halphas の才能を詰め合わせた大作 #7. "Forever Spellbound" がお気に入り。
前作と同様に激オススメ!
Sermons Of The Black Flame
- Into the Void
- The Draconian Path
- Satan Speaks
- Wolves of the Void
- Diciples of Dark Gods
- The Architects Eye
- At the Diamond Gates
- Into the Fires of the Black Flame
ドイツのブラックメタルバンド Halphas の『Sermons of the Black Flame』をレビュー。2024年リリースの 3rd フルアルバム。
猛々しくも凛とした雰囲気を湛えるブラックメタルで(我が家で)幅を利かすドイツの5人衆。Asagraum と並んで2010年代に出現したバンドの中で、筆者が最も注目しているバンドである。
今作も激しくもドラマティックな内容で素晴らしい。厳粛さに包まれた音世界には背筋がピンと伸びる。
前作、前前作よりスロー〜ミドルテンポの割合が多い。激烈度は落ちるが、そのぶんドラマ性を重視した作風に感じた。要所で突っ込んでくるザクザクした刻みにも感度良好。
ボーカルが交代しているが違和感は感じない。新ボーカルは前任に負けない役者な歌いっぷりで◯。初動は鈍いが過去作よりじっくり聴き込める。本作もオススメ!