MALUM Review
Crowned With The Serpent Sun
- Crowned with the Serpent Sun
- Funeral
- Huuto
- Burning Trident
- Symbol of Loss
- All Hail the Swindler
- Liberating Omega
フィンランドのブラックメタルバンド Malum の 1st『Crowned with the Serpent Sun』をレビュー。2015年リリース。
Malum はボーカルの Tyrant を中心としたバンド。Tyrantは Infernarium や Kalmankantaja でも活動する。この Malum も含めどのバンドも知名度は高くないだろう。
音楽性はフィンランド産バンドらしい哀感を帯びたメロディックなリフを疾走させるプリミティブ・ブラックメタル。淡々とした曲進行とメロディが無常な世界観を演出。一聴しただけでは地味に感じられる作品である。
ギターのギャリギャリした刺々しさが全面に出た音が耳に障るのと、それが弾きだすメロウさがどことなく荘厳さを感じさせるのが個性的。曲の構造は Horna や Sargeist 影響下にあるフィニッシュ・ブラックメタルのそれだが、音が与える雰囲気は一風変わっていて面白いバンドだと思う。無性に繰り返し聴いてしまう。
少しだけ聴いてスルーされることが多そうな気がするバンド。中々言葉で良さを説明するのが難しいがじっくり聴くと旨味が滲み出てくる音だ。7曲34分という短さも◯。
この 1st フルアルバムの前にEPを2つ出している。それらは2019年の Compilation『Awakening of the Luciferian Darkness』で聴くことができる。
Night Of The Luciferian Light
- O Satan O Lucifer
- Perdition
- Awakening of the Black Flame
- Kaste kirous ja kuolema
- Altar of Ritual Death
- Where Light Ascends
- Night of the Luciferian Light
フィンランドのブラックメタルバンド Malum の 2nd『Night of the Luciferian Light』をレビュー。2017年リリース。
前作『Crowned With The Serpent Sun』と同様、メロディアスなトレモロリフを基軸としたブラックメタル。知名度の低さに反して中身の方は変わらず堅実。
決して甘くはならないメロディと厳粛さを纏った音楽性。一見さんお断りと言わんばかりの偏屈さを感じさせる作風は即効性は高くない。だがドラマ性にも拘った凝った展開の曲は中々に味わい深い。
冷えた感触の音作りや Dissection を思わせる暗黒ドラマ曲が並ぶ前半曲。Sargeist と Dissection の合いの子みたいな印象。#2. "Perdition"、#3. "Awakening of the Black Flame"、#6. "Where Light Asecends" などは胸熱。
Awakening Of The Luciferian Darkness
- I
- II
- III
- Will
- Ikuisen vihan tulessa
- Awakening of the Black Flame
フィンランドのブラックメタルバンド Malum の『Awakening of the Luciferian Darkness』をレビュー。2019年リリース。
2014年のデモ『Malum』と2016年EP『Awakening of the Black Flame』を収録した編集盤。前半3曲がデモ音源、残りがEPからの曲。#6. "Awakening of the Black Flame" は 2nd『Night Of The Luciferian Light』収録曲でもある。
Malum
デモ音源『Malum』からの先頭3曲は十分に聴けるレベルの音質と演奏。1st『Crowned With The Serpent Sun』と遜色ない。粗っぽいチリチリした音のギターリフが醸し出す厳粛さが既にある。曲名が連番なところや終わりの雑さがいかにもデモ曲という感じ。
Awakening of the Black Flame
EP『Awakening of the Black Flame』からの後半3曲は音質がガラっと変わる。いずれも7〜8分の長めの曲。デモ音源とは味わい深さが違う。なんとも遣る瀬ない感じのスローパートが印象的で疾走部分よりも心奪われた。
本作の最後に鳴る鐘の音が 2nd の先頭と同じで繋がりがあるような仕掛けになっている。『Awakening of the Black Flame』は捨て置くには惜しい逸品。Gorgoroth や Halphas の空気感で気散じする向きなら聴く価値アリ。