RUNNING WILD Review
Gates To Purgatory
- Victim of States Power
- Black Demon
- Preacher
- Soldiers of Hell
- Diabolic Force
- Adrian S.O.S.
- Genghis Khan
- Prisoner of Our Time
- Walpurgis Night
- Satan
ドイツのメタルバンド Running Wild の 1st『Gates to Purgatory』をレビュー。1984年リリース。レビューするのは2012年のリマスター再発盤。1984年のEP『Victim of States Power』から2曲が追加収録されている。
海賊メタルのパイオニアによる 1st フルアルバム。80年代メタルのダサカッコ良さがぎっしり詰まっていて愛さずにはいられない、たとえ禁じられても。
荒々しいスピードナンバー中心の Accept + Venom といった印象の名作 1st。海賊メタル確立後のような仰々しい感じは無いが正統派メタル流儀のドラマ性をこの頃から十分に聴かせてくれる。
Judas Priest が最大の影響元とのことだがドイツ出身故か漢臭く華やかさが皆無な音楽性は Accept の方が頭に浮かぶ。曲の題材はサタニックなものが多い。中心人物である Rock'n Rolf(ギターボーカル)はまだ声域が狭く低い声で唸るように歌っている。
Venom の Cronos を思わせるこの声が悪魔的な如何わしさを醸し出している要因だろう。そういえば Kreator もデビュー盤ではこんな声だった(Mille Petrozza は Running Wild の初期作品は好きだと言っていた)。
#2. "Black Demon", #6 "Adrian S.O.S.", #7. "Genghis Khan" がお気に入り。"Black Demon" なんて青臭さ全開のベタなリフと曲調なのに妙にカッコ良い。これは理屈ではない、本能が反応しているのだ。
Branded And Exiled
- Branded and Exiled
- Gods of Iron
- Realm of Shades
- Mordor
- Fight the Oppression
- Evil Spirit
- Marching to Die
- Chains and Leather
ドイツのメタルバンド Running Wild の 2nd『Branded and Exiled』をレビュー。1985年リリース。レビューするのは1988年の Noise Records 再発盤。
1st『Gates To Purgatory』のダサメタルを順当に引き継いだ、大海原に乗出す直前の 2nd フルアルバム。プロダクションがのっぺりしているのと、タイトルトラック #1 と続く #2 が地味で最初の印象が良くないためか前作以上に田舎臭い印象を受ける。そこが良い所でもあるけど。
ボーカルは相変わらず低く狭い音域で歌うが邪悪さは薄れてきた。また後のスタイルに繋がる勇壮さが其処彼処で感じ取れるようになったのが前作との違い。筆者は前作 1st の方が好みだが本作も悪くない。
#3. "Realm Of Shades" と #5. "Fight The Oppression" は船よりバイクが似合いそうな80年代らしいカッコ良い曲。
Under Jolly Roger
- Under Jolly Roger
- Beggar's Night
- Diamonds of the Black Chest
- War in the Gutter
- Raise Your Fist
- Land of Ice
- Raw Ride
- Merciless Game
悪魔はもういい、次は海だとばかりに大海原へと漕ぎ出した独産海賊バンドの 3rd。海が漢達を大きくしたのか全てにおいて急成長。
垢抜けてモッサリ感が払拭された。Rock'n Rolf のボーカルが声域、声量共に増したのが大きい。カッコ良いメタル曲を説得力を持って聴かせてくれる。
次作で火が付くイケイケ感が燻り始めた。漢臭いコーラスは否応なしに拳に力が入る。メロディが青臭くなくて逞しさが備わっているのがポイント。
ますます Accept に似てきた気がするがそれも本作まで。メタル好きなら #3. "Diamonds of The Black Chest"、#5. "Raise Your Fist" あたりには思わず杯が進むってモンよ。
Port Royal
- Intro
- Port Royal
- Raging Fire
- Into the Arena
- Uaschitschun
- Final Gates
- Conquistadores
- Blown to Kingdom Come
- Warchild
- Mutiny
- Calico Jack
- Uaschitschun ('92 alternative version)
- Port Royal (re-recorded version 2003)
- Conquistadores (re-recorded version 2003)
ドイツのメタルバンド Running Wild の 4th『Port Royal』をレビュー。1988年リリース。レビューするのは Noise Records の2017年リマスター・デジパック・デラックスエディション盤。
出航した海賊船はジャマイカのポート・ロイヤルへ寄港。航海で漢をあげた独産海賊達はここで独自の海賊メタルを確立。筆者は本作が Running Wild の作品で1番好き。評価の高い次作『Death or Glory』より良い曲が揃っていると思う。
いかにも航海冒険譚といった感じの #6. "Final Gates" 〜#7. "Conquistadores" の流れ。Iron Maiden 的なドラマ性を持つ #11. "Calico Jack"。これまで以上にスケールの大きさを感じさせ気持ちが昂る。
Powerwolf もカバーした #7. "Conquistadores" や #2. "Raging Fire"、#5. "Uaschitschun" などのストレートなメタル曲もカッコ良い。Rock'n Rolf が高い声域まで熟せるようになったのは大きい。もはやマニア向けではない。
聴いていると何処か遠出したくなる。黒い音に浸かりすぎて疲労した心を癒してくれる好盤。
なぜかブックレットにはポート・ロイヤルの街紹介や当時のバンドの話、曲解説はあるが歌詞が載っていない。デラックス過ぎて重要なモンを忘れとる....
Death Or Glory
- Riding the Storm
- Renegade
- Evilution
- Running Blood
- Highland Glory (The Eternal Fight)
- Marooned
- Bad to the Bone
- Tortuga Bay
- Death or Glory
- Battle of Waterloo
- March On
ドイツのメタルバンド Running Wild の 5th『Death or Glory』をレビュー。1989年リリース。レビューするのは Noise Records の1999年リマスター盤。89年EP『Bad to the Bone』と90年EP『Wild Animal』がボーナス収録されている。
Running Wild の最高傑作と名高い 5th。初っ端の #1. "Riding the Storm" のインパクトが絶大。Running Wild 最高の1曲と言える名曲。他曲も心を鼓舞される勇壮な曲がズラリ。勢い付いたバンドの漲りが音から伝わってくる。
個人的には前作『Port Royal』の方が好きなのだがこれが名盤であるのは疑いようもなし。海賊メタルというには灰汁が抜けてカッコよくメタルし過ぎている気も。これまであった田舎臭さ、良い意味でのダサかっこ良さは薄れている。
#2. "Renegade"、#7. "Bad To The Bone" などの気合いの入った直球メタル曲はいつ聴いても元気が出る。この時点で既に歌メロやギターリフの癖が耳につくようになっているが Running Wild 型メタルを不動にした名作。
海賊メタラーにとっての『Keepers〜』みたいなモンで模倣バンドもたくさん出てくる。下の Wacken のライブ映像を見れば今でも欧州での人気に衰えがない事がわかる。