DARKENED NOCTURN SLAUGHTERCULT Review

ドイツのブラックメタルバンド Darkened Nocturn Slaughtercult の 1st『Follow the Calls for Battle』をレビュー。2001年リリース。

ポーランド人女性がボーカルとギターを務める4人組ブラックメタルバンド。初期 Mayhem や Immortal、Marduk、Negator に通じる激速ブラックメタル。

8曲30分ちょいをほぼブラストで突っ走り切る。だからと言って、勿論爽やかさは皆無。祟り殺されそうな狂声を激烈突貫リズムに載せて蹂躙し尽くす真っ当なブラックメタル。重厚で明瞭な音質だがアンダーグラウンドな空気が充満していて心地良い。

Marduk の様に無慈悲な感じではなく激烈だが耳触りが良く繰り返し聴いても疲れない音は魅力的。やや円やかなギター音で仄かに哀感を漂わすトレモロリフが素晴らしい。古き良き北欧ブラックメタルの地下世界音が息付く傑作。

ドイツのブラックメタルバンド Darkened Nocturn Slaughtercult の 2nd『Nocturnal March』をレビュー。

前作『Follow The Calls For Battle』と同路線の 2nd フルアルバム。ミドルテンポなんぞ不要とばかりに猛然と突っ走りまくるが異様に耳心地良いという理想的ブラックメタル作品。

前作のアタック感の強い音から各楽器の音量バランスが良くなった。ガリガリしたギター音は研がれ、ブルンブルン鳴るベースの音もちゃんと聴き取れる。騒然とした感じは弱くなったが本作はそれ以上に曲の猛烈っぷりが凄まじいのでそれを補って余りある。

この音だからこそ哀愁味のあるコード進行がより映える。出だしから慎ましく哀切を匂わせる #3. "Spectral Runlets Of Tulwod" にはつい仕事の手も止まる。控えめにだがメロウさも一層高まっている。

親近感を抱きにくいプリミティブなスタイルで只管に激烈、激速。Sargeist のようにメロディアスなわけでもなく単調に成りかねない作風。にも関わらず何度聴いても聴き疲れを起こさせないのが凄い。

伝統に対する敬意に溢れたリフ作りと曲の構築力、それを的確に伝える演奏と音質のすべてが完璧。本性である禍々しさを損なわずそれらを耳心地良く纏め上げた傑作。

ドイツのブラックメタルバンド Darkened Nocturn Slaughtercult の 3rd『Hora Nocturna』をレビュー。2006年リリース。

傑作 3rd フルアルバム。作風は前作『Nocturnal March』と全く同じ。ファンが求める音のすべてがここにある。完全無欠のファスト・ブラックメタル作品。

1曲目が暴走控えめでジワリと染み込むようなメロディが際立つ曲で、当初は少し趣が変わったかと思ったが然にあらず。強烈な音塊をぶちかます激烈激速のブラックメタルは健在。演奏のキレはさらに増した。

休む暇を与えぬ剣呑な音像の中に絶妙な匙加減で哀感を忍ばせる。面には出さぬ慈しみを感じる。果てる寸前にそっと手を緩めてくれるような包容力は繰り返し楽しめる最高のパートナー。

#8. "...To Necromancy" の宗教色を感じさせるメロディラインには在りし日の Deathspell Omega を思い出した。1st『Follow The Calls For Battle』同様アコースティックで締めるエンディングも劇的。名盤！