NORDLYS Review

ドイツのブラックメタルバンド Nordlys の『'til Pest』をレビュー。2008年リリース。Nordlys とバンド名を変更後の Pest、Die Pest の音源からの曲を収録した企画盤。

メンバーの A. は元 Horna、Korgonthurus。現在は Totalselfhatred のメンバー。本作収録曲の内訳は以下。

• #1〜#4：Nordly 95年Demo『Foelg nordlyset』
• #5〜#8：Nordly 96年Demo『Reisen til den høyes hall』
• #9, #12：Pest 未発表曲
• #10〜#11：Pest 98年EP『Wikinger / Feuer der Nacht』
• #13〜#16：Die Pest 99年EP『Armageddon』

Nordly

麗しいイントロを突如ぶち破って初期ノルウェー型のプリミティブ・ブラックメタルがスタートする。ほんのりと悲壮感を滲ませたリフが味わい深い。薄ら掛かるキーボードといかにも90年代のデモ音源といった感じのペラ音質も相俟って捨て置けない出来。初期 Gorgoroth などに通じるアンダーグラウンド感溢れる作風。

『Reisen til den høyes hall』では曲のドラマ性が高まる。ヴァイキング・メタル風のミドルテンポパートが増えキーボードがより目立つ作風。壮大な世界観が素晴らしい。ライブ音源の #8 は Kristallnacht を思わせる疾走曲。

Pest

Pest は Nordly の『Reisen til den høyes hall』デモを継承したような音楽性。曲はさらにドラマティックに。メロディからはヴァイキング調の勇壮さがたっぷり。#11. "Wikinger" は名曲。未発表曲の #12. "Feuerkreis" だけまたも Kristallnacht のような趣が違う曲。

Die Pest

Die Pest で音楽性が一変。軽い音で突っ走るポンコツブラック・スラッシュメタルになる。Nordly や Pest 時代とは全く異なるがヤケクソ気味なボーカルとバタバタしたリズムでこれはこれでカッコ良い。

時期によって作風が違うがどの時期も曲は聴き応えがある。筆者は Nordly の後半と Pest 時代が1番惹かれる。全16曲75分。ボリューム満点のおすすめ企画盤。