Gryftigæn Review
Graven Til Måneåpenbaringer
![Gryftigæn - Graven Til Måneåpenbaringer](/img/article/gryftigaen_graven-til-maneapenbaringer.jpg)
- Crossing the Venomous Ritual
- Sarcophagical Black Sorcery
- Fatidic Manifestation of Azael's Blood
- Circle of Twofold Attraction
- Nightside of the Eye of Seth
チリのブラックメタルバンド Gryftigæn の 1st『Graven til måneåpenbaringer』をレビュー。2020年リリース。
13th Temple のメンバーが結成したブラックメタルバンド。Pure Raw Underground Black Metal Plague(Funeral Fullmoon も所属)というチリのブラックメタル組織の中核を為すバンドらしい。
Darkthrone 型のプリミティブ・ブラックメタル。執拗に掻き鳴らされるトレモロリフは仄かに哀愁を滲ませる。曲はいずれも7〜9分台の長尺曲。#5. "Nightside of the Eye of Seth" にはチャントのような歌声が入る。
特徴的なのは劣悪な音質。初期北欧ブラックメタル作品をオマージュしたかのようなラジカセ音質。そこに薄らとキーボードをかけた上にエコーを効かせたモノトーンどころか限りなく真っ白に近い虚無的世界。
こういう霧のような音を最近聴いたなと思ったら Malus Votum だったがこの作品は遥か上をいく劣悪さ。ヘッドフォンで聴かないと何をやっているか殆どわからない。#3. "Fatidic Manifestation of Azael's Blood" の途中で短時間エコーが途切れる部分以外リズム隊の音は殆ど聴きとり不可能。
埋もれてカシャカシャと鳴るドラム。霧音の中を反響する亡霊のようなボーカルが怖い。山の向こうから聴こえてくるような不気味さを感じさせる。
この世界観は中々に凄い。音から本気度がビシビシと伝わってくる。この音質だからこそ演出できる音世界だろう。冬の朝に濃い霧に包まれながら聴くと存分に雰囲気に浸かれる。