FIN Review
目次
Fated By Will & Iron
- Upon Our Enemies' Ruin
- Guilty of War Crimes
- Insignia
- Fated by Will and Iron
- A Nation's Fallen Soldier
- A Banner Falls
アメリカのブラックメタルバンド Fin のデモ『Fated by Will & Iron』をレビュー。2011年リリース。レビューするのは2013年再発盤。
6曲入りデモ。1st『Refutable Arts Of The Noble Reserve』で完成する勇猛なブラックメタルスタイルはこの時点で大方完成している。以降に比べると勇壮なメロディは控え気味。代わりに典型的なブラックメタルの邪悪さが現れている。
メロディックデスメタル風だと感じる箇所も多い。細かい単音メロディが絡み合う様は初期の Dark Tranquility みたいだし、#1. "Upon our Enemies' Ruin" には Mithotyn を思い出した。試行錯誤の上でフルアルバムに到達したことが窺える。Mithotyn 懐かしくて久しぶりに聴きたくなったわ。
音質は引っ込み気味。かなり薄っぺらいが酷すぎる事はない。この軽く乾燥した音質は解散まで変わる事がなかった。陰湿さより雄々しさを表現するのに適しているとの判断だろう。
#3. "Insignia" と #5. "A Nation's Fallen Soldier" はフルアルバムに収録しなかったのは勿体ない良曲。1st『Refutable Arts Of The Noble Reserve』を気に入った方はこちらも是非。
Refutable Arts Of The Noble Reserve
- For Victory and Glorious Stature
- Reduced to Soil
- Combat
- Grasping Ones Resolve
- Hands upon the Steppe
- Feeble Coils Profound Rest
- Nocturnal Ambush
- Refutable Arts of the Noble Reserve
- Seeking the Destined Light
- Through Vast Seas and Wayfarer Shores
- What Life Means...
アメリカのブラックメタルバンド Fin の 1st『Refutable Arts of the Noble Reserve』をレビュー。2014年リリース。
勇壮なギターメロディを荒々しく疾駆させるブラックメタル。乾いた音で発せられるペイガン・ブラックメタル調のメロディを中心とした雰囲気は北欧勢のものとは一線を画す。
音が醸す荘厳さや暗黒性は薄く、エコーの効いた声で強烈に喚きまくるボーカルのみが邪性を振りまく。速、激、勇、美が揃って否応無しに気持ちの昂る逸品。
曲の構成はかなり練られていてどの曲もコンパクトながら劇的。騒がしいリズムに乗るギターはメロディを粗っぽくばら撒く。
音質は軽めだが申し分ない。ひたすらにメロディアスで聴きやすい。それでいてあくまで音楽性はプリミティブ・ブラックメタルとしか言いようがない。
音楽性は Maquahuitl、Délétère との共通項が多い。ヴァイキング調コーラスの導入やブラックメタルの枠内で巧妙な曲作りをしているところは Taake を連想させたりもする。
単純に曲が良い。メロディ派は必聴。どの曲も素晴らしいがゴリゴリなリフの中メロウさが映える #4. "Grasping One's Resolve" と #10. "Through Vast Seas, and Wayfarer Shores" は名曲。
The Furrows Of Tradition
- Bliss Apparition of Sunlight
- Abscond as Smoke to the Sky
- Sworn to Valor
- How the West Was Won
- A Final Shots Report
- The Furrows of Tradition
- The Grand Conqueror
- A Man Who Would Be King
- A Waltz with the Rope
- Ink and Fire
- Arrogance...A Bridge to Fall
- Fearless upon the Frontline
アメリカのブラックメタルバンド Fin の 2nd『The Furrows of Tradition』をレビュー。2015年リリース。
1st『Refutable Arts Of The Noble Reserve』に劣らぬ名作 2nd。ともすれば陳腐に聴こえそうな軽くて乾いた音で勇ましいメロディが乱舞。
どこか懐かしい時代の香りを漂わす音を振りまく内容は前作と同じ。作風が単調なバンドではあるが心浮き立つ旋律作りのセンスには脱帽。
メロディックなギター捌きは更に研ぎ澄まされて殆ど独壇場状態。音の荒さが僅かばかり改善。
メロディック・ブラックメタルファンはおろか、普段ブラックメタルを聴かない Blind Guardian などのファンでもこのバンドは許容できるんじゃないかと思う。
哀切と勇壮が交錯するタイトルトラックの #6 が素晴らしい。#9. "A Waltz with the Rope" も頭1つ抜けた名曲。
Arrows Of A Dying Age
- Manias
- The Sight
- Strings of Discourse
- A Wall of Stone
- Hold Fast…Thy Lament
- The Archer
- With Spear, Arrow, and Oath
- Arrows of a Dying Age
- Clarity in These Winds
- With Hammering Glance
- Outlaws
アメリカのブラックメタルバンド Fin の 3rd『Arrows of a Dying Age』をレビュー。2017年リリース。最終作。
驚くほど変化がない。ブラックメタル界の深田恭子....じゃなくて AC/DC と呼んで差し支えない。
中身は前2作と同じ。乱戦状態になった航空戦といった趣の忙しないギターを主軸とした荒々しい展開は 1st『Refutable Arts Of The Noble Reserve』 からまったく変わらない。
心なしかギター音の刺々しさが少し和らだ感がある。本作では勇壮さより哀感を出すメロディが多い。
特に #2. "The Sight" で顕著な Sargeist を想わせる部分が増えたのも面白い。このバンドの作品はタイトルトラックが素晴らしいが本作でも同様。
良いバンドだったが本作で解散。中心人物の M.K. は Blasphemy 系ブラックメタルバンド Infernal Sacrament とソロバンド Stars & Shadow で活動。しかし Fin を期待すると火傷するので要注意。このバンドはもっと前衛的な音楽性。純粋なブラックメタルバンドではない。