ENTHRONED Review
目次
Prophecies Of Pagan Fire
![ENTHRONED - Prophecies Of Pagan Fire](/img/article/enthroned_prophecies-of-pagan-fire.jpg)
- Intro (Prophecies of Pagan Fire)
- Deny the Holy Book of Lies
- Under the Holocaust
- Scared by Darkwinds
- Tales from a Blackened Horde
- At Dawn of a Funeral Winter
- Rites of the Northern Fullmoon
- Skjeldenland
- At the Sound of the Millennium Black Bells
- As the Wolves Howl Again
ベルギーのブラックメタルバンド Enthroned の 1st『Prophecies of Pagan Fire』をレビュー。1995年リリース。
90年代前半から活動しているベルギーの古株ブラックメタルバンド。音楽性は正統派のブラックメタル。音質は程よくクリア。キレの良い演奏が気持ち良い。ブラストビートに頼らずスタスタと疾走感のあるビートで走り倒す。ボーカルはぎゃあぎゃあ系、時折デスメタリックな重いリフも聴かせる。
シンフォニックという程ではないが要所要所でキーボードが効果的に使用されている。派手になり過ぎない程度の不気味な演出手法が渋い。メロディアスなパートが多いがメロディ単体で攻めるというより全体的な雰囲気で聴かせる感じ。
音質が結構違うが Immortal『Diabolical Fullmoon Mysticism』に似た作風。そこに Emperor『In the Nightside Eclipse』の神秘性を塗したような感じ。小気味好い疾走感と小綺麗な纏め方に Calvarium『The Skull of Golgotha』を思い出したりする。
かなり渋い。良曲が揃った素晴らしい作品だが一聴した感じは少し地味な印象を受ける。同じような展開の曲が多いせいかもしれない。ジワ〜と旨味が出てくるスルメ盤。
Immortal 度高めの #2. "Deny the Holy Book of Lies" とメロいリフと作中最もドラマティックな展開を持つ #10. "As the Wolves Howl Again" がお気に入り。
Towards The Skullthrone Of Satan
![ENTHRONED - Towards The Skullthrone Of Satan](/img/article/enthroned_towards-the-skullthrone-of-satan.jpg)
- Satan's Realm (Intro)
- The Ultimate Horde Fights
- Ha Shaitan
- Evil Church
- The Antichrist Summons the Black Flame
- The Forest of Nathrath
- Dusk of Forgotten Darkness
- Throne to Purgatory
- When Horny Flames Begin to Rise
- Hertogenwald
- Final Armageddon (Epilogue)
ベルギーのブラックメタルバンド Enthroned の 2nd『Towards the Skullthrone of Satan』をレビュー。1997年リリース。
1st『Prophecies Of Pagan Fire』リリース後にドラマーの Cernunnos が自殺。中心人物の Lord Sabathan 以外のメンバーを刷新して製作した2nd。
前作から変化なし。小気味良い疾走ブラックメタルに喚きまくるボーカルがのる。初期 Immortal や Styricon と同質の忌まわしさを纏う。要所で民族調のメロディを孕むスローパートを差し込む90年代らしい古典的ブラックメタル作品。
しっかりと鳴らされるトレモロリフは当時の北欧のブラックメタルバンドとはやや違った感触。当時のメロディック・デスメタルに接近する部分もある。ややモコモコした音で性急に走る様には Dark Tranquillity『Skydancer』を思い出した。
どこを切っても似たような速度とリズムで走っているように聴こえるのはマイナス点。本作も間違いなく良作だが、どうにも渋い印象が拭えない。
The Apocalypse Manifesto
![ENTHRONED - The Apocalypse Manifesto](/img/article/enthroned_the-apocalypse-manifesto.jpg)
- Whisperings of Terror
- The Apocalypse Manifesto
- Death Faceless Chaos
- Retribution of the Holy Trinity
- Post-Mortem Penetrations (Messe des Saintes Mortes)
- Genocide (Concerto No. 35 for Razors)
- Völkermord, der Antigott
- Alastor Rex Perpetuus Doloris
- The Scourge of God
ベルギーのブラックメタルバンド Enthroned の 3rd『The Apocalypse Manifesto』をレビュー。1999年リリース。
音楽性に大きな変化はなし。前作までの凝った展開やメロディアスな部分は抑制気味。攻撃性を押し出した作風となっている。
タタタタタと一本調子なリズムとボーカルで軽めに突っ走るブラックメタルはこれまでと同様。闇雲に突っ走りながらも耳を惹く展開を所々に要していて渋く纏まっていた前2作だが本作はメリハリが少ない。
渋いを通り越して地味に感じられる。なんとか褒めると過激に突っ走っていた頃の Marduk を思わせる。小細工なしの獰猛さを求める向きにはこちらの方が良いと思う。
Armoured Bestial Hell
![ENTHRONED - Armoured Bestial Hell](/img/article/enthroned_armoured-bestial-hell.jpg)
- Humanicide 666
- Wrapped in Fire
- Armoured Bestial Hell
- Enslavement Revealed
- Spells from the Underworlds
- Spheres of Damnation
- The Face of Death
- When Hell Freezes Over
- Premature Satanicremation
- Terminate Annihilation
- Outro
ベルギーのブラックメタルバンド Enthroned の 4th『Armoured Bestial Hell』をレビュー。2001年リリース。
前作『The Apocalypse Manifesto』と同路線を行く攻撃性重視の作品。高速リズムと薄平べったいトレモロに絶叫ボーカルがのる Enthroned らしさは不変。
やけにボーカルが喧しいバランスの悪い音質に平坦さを増した作風。さらに地味さが増した。1st 〜 2nd 期の怪異な空気はすっかり抜けてしまったのは残念。前作での変化を好ましく思う向きには本作も外すことはないだろう。
ミドルテンポの長尺曲 #8. "When Hell Freezes Over" の後に爆走ブラックメタルのインスト2曲で締める謎の構成。ボーカルが入ってないのが不思議。軽音疾走に高音絶叫のためか時折 Impaled Nazanere が頭をよぎった。