THE TRUE WERWOLF Review
Death Music
![THE TRUE WERWOLF - Death Music](/img/article/the-true-werwolf_death-music.jpg)
- Vampyric Magick
- Malevolent Ascension
- Kreaturen der Nacht
- Arkut
- My Journeys Under the Battlemoon
- The Grandeur of Death's Palace
- Bats Crawl from My Tower
- Buried Yet Mourning
- Weeping Lord of the Majestic Plagues
- In a Dark Dream
フィンランドのブラックメタルバンド The True Werwolf の『Death Music』をレビュー。2012年リリース。レビューするのはジャケットが変更された2016年再発盤。
Satanic Warmaster の Werwolf のソロプロジェクトの1つ。初期音源をまとめたコンピレーション盤。曲の出所は以下に。各音源で作風も音質も違う。Satanic Warmaster っぽい曲もあれば実験的な曲もある。Satanic Warmaster 以上に地下深く黴臭さのきついプリミティブ・ブラックメタル。Werwolf 個人の趣向がより強く出たような作品である。
- #1〜#4:2012年EP『Vampyric Magick』
- #5〜#6:2011年EP『Battlemoon』
- #7:2011年Split『A Shadow of All Evil』
- #8:未発表曲
- #9〜#10:2007年EP『Weeping Lord of the Majestic Plagues』
Ildjarn ばりのノイズ・ブラックをアンビエントな味付けで聴かせる『Vampyric Magick』。これは評価を分けるかもしれない。Satanic Warmaster ファンは『Battlemoon』EP曲は必聴。『Weeping Lord of the Majestic Plagues』もイケるだろう。歌唱面での実験色が濃い作品ではある。#9. "Weeping Lord Of The Majestic Plagues" は凄まじい不穏さ。作品としての整合性はともかく、曲自体には良いものがある。
Devil Crisis
![THE TRUE WERWOLF - Devil Crisis](/img/article/the-true-werwolf_devil-crisis.jpg)
- My Journey's Under the Battlemoon
- Thy Deviant
- Spellbound
- Chi No Namida
- 0373
- The Witch of My Heart
- Magick Fire
フィンランドのブラックメタルバンド The True Werwolf の 1st『Devil Crisis』をレビュー。2020年リリース。
2012年の録音。随分と長い間寝かされていた事が勿体ない素晴らしさ。現在の Satanic Warmaster よりもファンの求める Satanic Warmaster 像に近いであろうフィニッシュ・ブラックメタルファン待望の作品である。
攻撃性を前面に出して寒々しく哀切を湛えたメロウなリフが疾駆する感じは Werwolf 関連作だと White Death あたりの作風に近い。音質も初期 Satanic Warmaster の生々しさとは違い粗雑さの少ないクリアなもの。Satanic Warmaster よりもとっつき易くメロディック・ブラック入門盤としても適していると思う。
Werwolf の原点回帰はそれはそれで嬉しいのだが注目は日本のゲーム音楽をカバーした #4. "Chi No Namida" と #5. "0373" だろう。それぞれ "悪魔城ドラキュラ"、"ラフワールド" というゲーム曲のカバーだそうだ。どちらもシンセが華麗に乱舞する心湧き立つにも程があるシンフォニック・ブラックメタルの名曲になっている。
作品の雰囲気がいきなり変わるので驚いたが筆者の "Chi No Namida" の初聴時の経過はこんな感じ「ドイツ語ナレーションなげぇ....」→「すげぇかっけ〜曲!」→「なんとなく日本っぽいメロディだな」→「ん、タイトルが "Chi No Namida"?」→「血の涙?」→カタカタッ(ググる)→「ナルホド」。
後半はこのままシンフォニックスタイルで進むのかと思ってたら #6. "The Witch of My Heart" の頭が「ゔぁげぇぁ〜、ドカドカドカ」と来て反り返った首を戻すのに難儀した。とはいえこの曲もシンセが要所で活きる良曲。嫌がらせレベルのしつこさでメロウリフを繰返す #2. "Thy Deviant" もそうだが今作ではプリミティなブラックメタル曲でもシンセが活躍する。
最後の #7. "Magick Fire" はパンク・ロックスタイルの軽快な曲。改めて考えると意外と幅広い曲調で構成されている。Bandcamp 曰く、Satanic Warmaster が Black Sabbath なら The True Werwolf は Ozzy Osburne のソロみたいなものらしい。言い得て妙.....かな?