INFERNAL NECROMANCY Review

日本のブラックメタルバンド Infernal Necromancy の 1st『Infernal Necromancy』をレビュー。2008年リリース。レビューするのは Zero Dimensional Records からの2012年再発盤。2003年のEP『Freezing Blackstained Universe』が追加収録されている。

Infernal Necromancy は90年代後半から活動している老舗ブラックメタルバンド。歌詞カード裏に書かれた "Japanese Imperial Black Metal" の文字が鮮烈。ジャケットは大東亜会議。インナーには特攻隊の写真が多数使われている。あまり海外のNSBMと一緒にして欲しくないが Absurd のカバーを収録しているのでどうしてもそっちのイメージが付き纏う。

音楽性は粗々しい音に悲哀に満ちたメロディを滲ませて疾駆させるプリミティブ・ブラックメタル。ボーカルは Burzum 等と共通する狂人絶叫系。ギターは只管メロディックで物悲しさを絶やさない。ギターフレーズの裏で激しく動くベースフレーズも哀しい雰囲気を助長していて○。

#3. "神風"、#7. "空の神兵"、#8. "桜花"、#10. "回天" などの特攻隊や落下傘部隊をタイトルとした曲は悲壮感満載。特に華々しく散って行く最後を連想させるような "回天" のエンディングには目頭が熱くなる。ブラックメタルらしい荒涼感と憂鬱なメロディのバランスが絶妙。

題材のせいか、はたまた筆者が日本人だからか激しさや邪悪さよりも悲哀が先行する作品。淡々とした薄っぺらい音が悲壮感を感じさせると同時に厳かでもある。楽曲は素晴らしくても決して高揚感を得られるものではない。デプレッシブ・ブラックメタルと同じような重々しさを感じる作品である。

一部メンバーは Funeral Elegy にも参加。

日本のブラックメタルバンド Infernal Necromancy の『1997-2000』をレビュー。2011年リリース。タイトル通り1997年から2000年にかけての音源をまとめた編集盤CD。

音の出所は以下の通り。Metallum にも載っていない音源がある。さすがは Zero Dimensional Records の編集。よく発掘したなと感心しきり。

• #1〜#2：No Title Demo - (Unreleased)
• #3〜#4：Infernal Necromancy / Deathlike Silence Split "Bestial Holocaust"
• #5：Rehearsal Tape
• #6〜#9：Reh.00
• #10〜#14：Primitive Art
• #15〜#18：Melancholic Art

極初期音源という事で劣悪音質を覚悟していたがそれほど悪くない。#5〜#9 までのリハーサル音源以外はブラックメタルに慣れた耳には聴くに耐えない程ではないと思う。

2000年の『Primitive Art』までの音は 1st『Infernal Necromancy』以上に生々しく邪悪。断末魔の絶叫と忌まわしいフレーズが悽絶な病的空間を作り出しているので『Infernal Necromancy』のファンがこれを聴くと辛いかもしれない。

『Melancholic Art』ではほぼ『Infernal Necromancy』と同等のメランコリックスタイルが完成。地下室に篭って調伏するような空気感の『Primitive Art』までの音より非内省的でボーカル含め全ての音がより粗暴。筆者は『Infernal Necromancy』収録曲はこちらのバージョンの方が好み。

日本のブラックメタルバンド Infernal Necromancy の『2001-2002』をレビュー。2011年リリース。2001年から2002年の音源をまとめた編集盤CD。

迷彩服っぽい柄の服を身に付けたメンバーの写真が怖すぎる。音の出所は以下の通り。

• #1〜#2：Reh H.13
• #3〜#8：Reh 2002
• #9〜#12：Promo 2002

本作もリハーサル音源を主としているが『1997-2000』が聴けるなら音質は気にならないレベルだろう。音飛びする箇所があったり、ドラムがまるで別の楽器のような音をしている『Reh H.13』は正にカルト。

既発曲の別バージョンが主で前作同様マニア向けの音源には違いない。注目は未発表曲の #9. "Immortal Tyrant" と #10. "Suffocated Life, Bequest Body" だろう。

"Immortal Tyrant" は昭和の下町の夕暮れ時を思わせるようなゆったりした単音メロの上でドラムがバカスカと叩き込まれてボーカルが絶叫する。どこが "Immortal Tyrant" なのかまったくわからん....

"Suffocated Life, Bequest Body" は引き攣るようなリフで爆走する Infernal Necromancy にしては珍しいブラックメタル色が薄い曲。

日本のブラックメタルバンド Infernal Necromancy の『2002-2006』をレビュー。2011年リリース。

Infernal Necromancy マニア向け未発表音源集も本作で完結。音の出所は以下。

• #1〜#2：Infernal Necromancy / Frozn Split - (Unreleased)
• #3〜#5：Live Demo 2004
• #6〜#10：Forgotten Wisdom
• #11〜#12：Infernal Necromancy / Samayoi Split

本作も既発曲が多い。未発の Split 音源 #1〜#2 を発掘してくるのは流石。

2006年のカセット『Forgotten Wisdom』収録の #8. "Infernal Necromancy II" は今となっては貴重だろう。Infernal Necromancy らしい狂騒曲で荒っぽ過ぎる音に目紛しく回転するリフで偏頭痛が起きてくる。カセット収録の "Massacre Song from the Devastated Lands"（Vlad Tepes のカバー）が本作には未収録なのが残念。

Samayoi との Split 音源 #11〜#12 は 1st『Infernal Necromancy』よりも落ち着きのある音質でメロディの悲哀感が際立っている。