OVERKILL Review
Feel The Fire
- Raise the Dead
- Rotten to the Core
- There's No Tomorrow
- Second Son
- Hammerhead
- Feel the Fire
- Blood and Iron
- Kill at Command
- Overkill
- Sonic Reducer (The Dead Boys cover)
アメリカのスラッシュメタルバンド Overkill の1st『Feel the Fire』をレビュー。1985年リリース。
スラッシュメタルバンドに変態する直前の貴重な瞬間を捉えた 1st フルアルバム。NWOBHMの香りを強く感じさせる Iron Maiden が凶暴化したような音である。ガムシャラさと味わい深さとB級臭さが同居する作品で筆者は Overkill の全作品中でもトップ3に入るぐらい気に入っている。
Overkill そのものである Blitz と D.D. Verni の出す音はこの頃から個性的。なにより今は無き(死んだわけではない)Bobby Gustafson の切れ味抜群のギターソロはどの曲も相当アツい。この3者がそれぞれ個性を主張するのが Overkill というバンドの個性になっている。
本作は大半を疾走曲で占める爽快な内容。"Rotten to the Core" は定番の名曲。爆走スラッシュ曲の "Hammerhead" と "Blood and Iron" も熱い。
至る所で Iron Maiden の影響を感じさせる。タイトルトラックの #6 "Feel the Fire" はモロに Iron Maiden 風。#8 "Kill at Command" も同じく Iron Maiden っぽさのある劇的な曲。この曲のギターソロは本作のハイライトだと思う。
#10 "Sonic Reducer" はパンクバンド The Dead Boys のカバー。Overkill 仕様の曲となっていて本作の中にあっても違和感はない。
何度聴いても飽きの来ない名作 1st。
Taking Over
- Deny the Cross
- Wrecking Crew
- Fear His Name
- Use Your Head
- Fatal If Swallowed
- Powersurge
- In Union We Stand
- Electro-Violence
- Overkill II (The Nightmare Continues)
Overkill の 2nd『Taking Over』をレビュー。1987年リリース。
前作 1st『Feel The Fire』の野蛮なメタルサウンドに力強さと重量感が加味され一気にスラッシュメタルバンド化した印象の 2nd フルアルバム。スラッシュメタルの名盤として評価が高いアルバムである。
『Feel The Fire』同様に疾走感のある曲を中心としたアグレッシブな内容。"Wrecking Crew" や "Electro-Violence" といった代表曲を含む。スピードは若干控えめにしてミドルテンポで馬力を見せつける場面が増えたのと Blitz の歌唱がより際立つ作風になった。
ザクザクのスラッシュリフとズンズンくるリズムが気持ちが良い。前述の2つの名曲は勿論、"Deny the Cross"、"Use Your Head" も良曲。
だが筆者自身は『Feel The Fire』の方が好み。整合感を強めた故に前作のガムシャラな勢いが減退したのは寂しい。あのパンクロック由来の熱さを本作からはあまり感じられない。また "In Union We Stand" を始めヘヴィだがダルい部分が多いのも減点材料。
Under The Influence
- Shred
- Never Say Never
- Hello from the Gutter
- Mad Gone World
- Brainfade
- Drunken Wisdom
- End of the Line
- Head First
- Overkill III (Under the Influence)
アメリカのスラッシュメタルバンド Overkill の 3rd『Under the Influence』をレビュー。1988年リリース。
スラッシュメタルとしか言いようのない攻撃的な音。ドラマ性に溢れ、メロディアスですらある。それでいて、キャッチーでご機嫌な所もあって凝った曲でも聴きやすいという万能型作品。バンドの作曲能力が円熟期に入った傑作 3rd フルアルバム。
Blitz の歌と D.D. Verni のベースが益々冴え渡る。Iron Maiden ばりの正統派ドラマティック曲 #7. "End of the Line" とベースラインの印象的な #8. "Head First" が最高。恒例のパンク曲 #3. "Hello from the Gutter" も勿論外せない名曲。他にも良曲多数。後半にドラマ性を増す6分超えの曲が続く。とにかく良い曲が揃っていて聴き飽きない。これも名作。
The Years Of Decay
- Time to Kill
- Elimination
- I Hate
- Nothing to Die For
- Playing with Spiders / Skullkrusher
- Birth of Tension
- Who Tends the Fire
- The Years of Decay
- E.vil N.ever D.ies
アメリカのスラッシュメタルバンド Overkill の 4th『The Years of Decay』をレビュー。1989年リリース。
大作志向が極まった4作目。Metallica『...and Justice For All』に追従したような暗く複雑な作風。チャート成績は良かったらしいが前作のようなとっつき易さには欠ける。前半にライブ定番曲 #2. "Elimination" や軽快な #3. "I Hate" があって初見はまずまず。長尺曲の並ぶ後半が辛い。
Terry Date プロデュースによる鈍く重い音が印象的。低音が粘る90年代に流行った音質。Pantera の Dimebag Darrell が本作のギター音に感銘を受けて『Cowboys from Hell』で Terry Date を起用したのだとか。それを考えると歴史的に重要な作品でもある。
重石付きのリズムの中で怒りに満ちたスラッシュ曲 #2. "Elimination" と #9. "E.vil N.ever D.ies" は気炎を揚げる。Blitz の器用さがわかる長尺劇的曲も悪くはないけどスラッシュメタルらしい推進力が減退したのが残念。
The Wings Of War
- Last Man Standing
- Believe in the Fight
- Head of a Pin
- BatShitCrazy
- Distortion
- A Mother's Prayer
- Welcome to the Garden State
- Where Few Dare to Walk
- Out on the Road-Kill
- Hole in My Soul
- In Ashes
米国産スラッシュメタルバンド Overkill の19枚目のフルアルバム『The Wings of War』をレビュー。レビューするのはボーナス曲を1曲追加した日本盤(metallum)。
相変わらず元気なオッサン達だ。いや、お爺さんでもおかしくない歳か。殆どのメンバーが齢60に近づこうとしているのに全く衰えを感じないどころかアルバム全体を通してエネルギーが漲りまくっている。ファンは迷わず買いで。
2010年『Ironbound』頃からの熱血っぷりにやや翳りが見えた前作『The Grinding Wheel』だが、本作『The Wings of War』ではスラッシュメタルバンドの本分を取り戻している。
それはノンストップ・スラッシュメタル曲の #1. "Last Man Standing" だけで一聴瞭然。ギターのザクザク感が心地よすぎる。
得意のパンク曲 #7. "Welcome to the Garden State" もいつになく陽気で腕白な感じが最高。ベースの裏に貼った Ramones のステッカーを嬉しそうに見せる D.D. Verni に頬が緩む。
こんなカッコ良い爺さん達は中々おらんぜ。