CINEREOUS RAIN Review
Cinereous Rain
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- III
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ドイツ人とエクアドル人による2人組ブラックメタルバンド Cinereous Rain の 1st『Cinereous Rain』をレビュー。2020年リリース。
Darkspace と Demoncy『Joined in Darkness』を掛け合わせたような重苦しい空気感で地獄絵図を描くブラックメタル。Demoncy『Joined in Darkness』の直に響く焚書坑儒みたいなブラックメタルとは少し趣が違う。空間的な広がりは感じるのに異常に閉塞感があって息苦しさを感じるという個性的な音楽性。何を言っているのかわからないと思うが筆者も何を言っているのかよくわからない。
リフは至って普通。抑揚のないトレモノフレーズが続く。ボーカルは呪文系唸り型。キーボードは Dark Space 程は前に出ず。背後でうっすらと低音を持ち上げて聴き手に覆いかぶせるように鳴り響く。終始同じような重苦しい雰囲気と速度で進行するので各曲の判別は難しい。アルバム全体で聴かせるタイプの臨死体験型アトモスフェリック・ブラックメタル。筆者はこれを聴き続けるのは結構辛い。
個性的だが聴き手を相当選びそう。アトモスフェリック・ブラックメタルとは言っても近年多い麗しい景色を想像させるような音ではない。むしろドゥーム系やドローン系愛好家の方が適しているかも。メンバーはこのバンドの他にも無数のバンド、ソロプロジェクトを動かしている模様。一過性のバンドに終わらず次作があると良いが。