ACATHEXIS Review

アルゼンチン人、ベルギー人、アメリカ人からなる多国籍ブラックメタルバンド Acathexis の 1st『Acathexis』をレビュー。2018年リリース。

凡庸なアトモスフェリック・ブラックメタル。Aara のクラシカルなフレーズを抑制してスケールを小さくしたような感じだろうか。Aara と比較すると壮大さにはアルプス山脈と高尾山くらいの違いがある。ただこのバンドは歌詞の題材が暗く方向性が違いそうで Aara と比較するべきでは無いかもしれない。

楽器隊による音の壁を怒涛のように轟かせキーボードで壮麗に装飾する音楽性はこの系統のバンドによくある手法。爆走するパートは多め。4曲で40分弱、どの曲も9~10分の長尺の曲で聴き通すのは結構しんどい。キーボードがあまり効果的に使われていないのか壮大な情景描写が不十分。音が描写する世界観に浸る事ができるかどうかが評価の分かれ目になるジャンルだな〜とつくづく思う。

#3. "Veins Hollowed" は出色の出来。ギターが勇壮なメロディを奏で爆走する作品中最もギターの主張が強い曲だろう。キーボードがギターに絡みつつ激しくも暖かみのある雰囲気へと劇的に展開する様には心が洗われた。